マツダ山内社長に聞く ― 低燃費ガソリン車へ注力する理由
低燃費ガソリン車になぜ注力 マツダ社長山内孝氏…日経7面から。
2011年07月31日
1967年慶大商卒、マツダ入社。96年取締役、2008年H月より現職。66歳。
新興国では10年後も主役 文中黒字化は芥川。
車の低燃費競争が激しくなっている。マツダは国の新たな燃費基準でガソリンーUあたり25UJ-A走る小型車「デミオ」を発売した。燃費はホンダのハイブリッド車(HV)と肩を並べる。HVや電気自動車(EV)が注目される中、なぜガソリン車に力を入れるのか、山内孝社長に聞いた。
--低燃費ガソリン車を主軸に据える理由は。
「自動車市場は現在、約6000万台だが、いずれ1億台に増えるだろう。第三者意見を交えても、2020年でHVやEVが市場に占める割合は5%程度で、残りはエンジンを積むガソリン車が占める見通しだ。成長をけん引する新興国では、ガソリン車は今よりもっと増える。構成比の大きなガソリン車で低燃費技術を磨けば、地球温暖化対策にも貢献できる。15年までに世界で走るマツダ車の平均燃費を08年比で平均30%改善する」
「マツダは『走る歓び』を、ブランドとして10年間育んできた。マツダの世界シェアは2%にすぎない。
2%のブランドを輝かせるには、強みを磨くしかない。内燃機関のガソリン車が走りを一番、表現できる。内燃機関で世界一流になれば、HVと組み合わせても競争力の高い商品を開発できる」
―-EVでは走りの良さを表現できないのか。
「環境技術の一番のカギを握るのは軽量化だ。EVやHVは電池やモーターなどを積み、ガソリン車より重くなる。モーター補助を使わない市街地以外の高速走行では決してメリットが大きいわけではない」
「燃費は数値で比較しやすいが、車には数値で表現できない魅力がある。エンジンから体に伝わる感覚など走る楽しさは、EVよりもガソリン車が提供できる。モーターだけでは車の差異化か難しくなる。今後、新型車への切り替えに合わせて、車の重さを100キログラム軽くしていく」
-1為替が対ドルで70円台をつけている。国内生産を維持できるか。
「70円台の水準は国内でつくるなと言っているに等しい。体力を超えている。コストを抜本的に下げる一方、高くても売れる商品をつくる。技術やデザインに裏打ちされた商品力、販売・サービスでブランドを築くことが重要だ」
「国内生産100万台を守ると部材メーカーには言っているが、マツダだけが円高の負担を背負うのは限界がある。国内の部材メーカーともドル建てで決済するなどして、応分に負担Lてもらう。その代わりl00万台は守りたい。互いに危機感を共有しつつグローバルな競争力を高める」