マスコミに依って作られる常識は真実ではない。
マスコミに依って作られる常識は真実ではない ― 東南アジアの友との対比から見た日本の病;
日本の貧困とデフレを「成熟社会だから買う物が無い」と報じるマスコミは大嘘をついている。シンガポールの華僑経営者との交流を通じて、使うことで経済を回す国と、貯め込むだけの国の違いを描き、日本が失った力の根源が官僚の失政とマスコミの権威主義にあることを明らかにする。
2010年マスメディア論:なぜ日本の経済は停滞したのか?貧困と富裕層の「お金の使い方」;
2010年当時の筆者の視点から、日本の経済的停滞と「常識の嘘」を批判的に考察。シンガポールの成功した実業家との交流を通じて、お金持ちが積極的に消費・投資する社会と、富を貯め込むだけの日本の違いを指摘します。また、マスコミが作り出した「デフレは仕方ない」「総量規制は国民のため」といった誤った常識が、いかに日本の活力を奪ったかを論じています。
2010/7/20。
マスコミに依って作られる常識は真実ではない。
日本は成熟社会に成ったから買う物が無い、だからデフレに成るのだ。同様に、だから少子高齢化は止むを得ない…これらは全て「常識の嘘」を地で行く話です。
7人に1人が貧困者(しかも多数の若者が)の国で、誰が結婚して子供を産めるのでしょうか?
買う物が無いというのは言うまでもなく正しくないのである。
特にファッションの分野に於いては、欲しい物は年ごとに、季節ごとに無数に有るのです。
百貨店の衣料品売り場で、欲しい物が無い人間が居たら僕はお目にかかりたい。
金が無いから買わないだけです。
資本主義社会の根幹である株式市場を支配している強欲とは違う、良い意味での欲望は、人間は自然に持っているのである。
随分前に弊社の顧客がいつも言っていたのです。
貴方と話しているといつもシンガポールの華僑さんが浮かんでくる。あなたと同年代の人です。
19歳の頃、小さな工場から始めて、今ではfifty excellent companies in Singaporeに入っている…是非、あなたに紹介したい。
そういう経緯でシンガポールで会って以来、極めて親しい付き合いをさせて頂いた最初の頃、45億円を掛けて新居を建設中でした。
設計段階から完成まで3度招かれもしましたが、17台分の駐車場スペースは、食事の相手は殆ど大臣たちである彼が、この豪邸でパーティでも催す時の来客用だろうと思っていたら、そうではなかった。
世界を股にかけて活躍している彼にとっては必要なストレス発散である自分の車用であったのでした。
シンガポールで二人しか持っていないと言う1億円超のフェラーリの助手席に僕を乗せてもらった時に、僕は彼の心情を理解したのでした。
繊細さの極地の様な滑らかさを持った極めて官能的なエンジン音と、一瞬にしてビジネスのストレスを消し去るスピード感の中で、彼の心情を瞬時に理解したのですが、
彼は「キサラさん、僕は車にお金を掛け過ぎたかも知れない…」と話しかけて来たのでした。
この間、上記の紹介者が彼の近況を伝えて曰く、上記の豪邸は長男に上げて、本人は更なる豪邸を建築して其処に住んでいる、と。
東南アジアのシャイニングスターの1人として邁進する彼なら当然でしょう。
更に車を買い続けているのでしょう。
知己に成った当時、彼は大手飲料会社2社の大株主でもありました。
当時、170億円をかけて新築した新社屋が完成するや、更に大きな新社屋の建築に取りかかった彼の事ですから、当然なのです。
彼の、大金持ちとしての見事で気持ちが良いほどの、お金の使い方は、金融を国是として来たシンガポールでは株の配当は無税である事と無関係ではないでしょう。
お金持ちがお金を使わず、自分の為に貯め込む国と、お金持ちは、お金を使ってこそお金持ちとして、遇される国があるのです。
誰も免れぬ有限の人生を、天賦の才能を余す所なく発揮して、無限の夢を追い、発揮した無限のエネルギーに比例してお金を使う国と、ただ自分の為に貯め込むだけの国。
どちらの経済が元気に成るかは言うまでもないでしょう。
或る時、彼は、紹介者だったA氏に「僕の成長スピードは速すぎるだろうか?…」と尋ねたそうです。
僕は、45億円掛けた豪邸が完成し招かれていた時、彼に似て如何にもシャープで大人の風貌をした、彼の長男に言いました。
「お父さんに伝えてくれ、貴方のお父さんは東南アジアのシャイニングスターだ。どこまでも、無限に邁進して行くべきだ」と。
自分の代わりに、という思いが有った事は言うまでもありません。
出会いの場所だった彼の社長室で彼の風貌を見た時、僕の頭の中に去来した思いがありました。
10数年前の僕ならビジネスに於いても伍して行けたが、今では無理だ、しかし、ブレイン・パワーだけは負けないぞと言う思いだった。
60年前の病をいまだに抱えている国に生まれて、その病がもたらした愚かしさに、彼に負けないビジネスパワーを奪われた。
その無念と自分の誇りが同時に去来したのです。
僕の同級生の真ん中から上半分である官僚の失政…やるなら、もっと前に漸進的にやるべきだった総量規制だった。
そして、それを致命的に深めたマスコミは日本の真の一流が向かう場所では決してない。
銀行、不動産、建設業界が勝手にやった事の為に、何故?国民の血税を使わなければならない、という彼らが始めた大合唱。
常に自分達は正しいと思っている度し難い権威主義による、正義感の大合唱で味噌も糞も一緒くたにした25年前。