もはや「誹謗中傷」…スラップ訴訟に該当…朝日の訴状に“仰天”…「モリカケ」に疑惑なし

月刊Hanadaセレクションの対談「もはや『誹謗中傷』…スラップ訴訟に該当…朝日の訴状に“仰天”…『モリカケ』に疑惑なし」は、朝日新聞による森友・加計報道と、それを批判した小川榮太郎氏の著書への名誉毀損訴訟を徹底検証する。
飛鳥新社と著者に対する5,000万円請求は、弱い立場のフリー言論人を威嚇し沈黙させる「典型的なスラップ訴訟」だと批判し、本来メディア同士は『言論には言論で』応じるべきだと指摘する。
さらに、朝日自身の訴状に「森友・加計問題で安倍首相の関与を報じていない」と書かれていることを紹介し、数百本に及ぶ「総理のご意向」「安倍疑惑」報道との矛盾を告発、「モリカケ」には本質的な疑惑も違法性もなく、印象操作による“虚構の大事件”だったと結論づけている。

もはや「誹謗中傷」…スラップ訴訟に該当…朝日の訴状に“仰天”…「モリカケ」に疑惑なし
2024年05月23日

以下は前章の続きである。

もはや「誹謗中傷」
須田 
一部新聞などメディアに激しく批判されたら、これまでだったら普通の政権は倒れていましたよね。
しかし安倍さんは倒れない。
だからバッシングも過剰になっていく。
小川 
もちろん、これだけ大きな国の舵取りをしているのだから、厳しくチェックされなければならない面はあります。
しかし、その批判は政策論争であるべきですよね。
安倍総理は今回の施政方針演説で、これまでの五年間のなかで初めて、八割を内政課題に充てていました。
特に少子高齢化対策としての地方創生や、人づくり革命です。
それに対処する包括的なプランを初めて提案したのです。 
国会がそれに対して評価・批判をしたり、もっといい案があると提案したりする議論は、大いにやるべきです。
ところが、まともな批判や論争はない。
「モリカケ」ばかりで、朝日新聞中心にそれを煽っている。
嘘を元にした誹謗中傷を延々とやっている。
そういった状況を憂いて、私は『徹底検証「森友・加計事件」―朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)という本を書いて、朝日の報道は偏向だ、捏造だと指摘したのです。
須田 
しかし朝日新聞は、小川さんの本と発売元の飛鳥新社を名誉毀損で訴えた。
五千万円の損害賠償請求と謝罪広告の掲載を求めています。 
実は、私も名誉毀損裁判については「プロフェッショナル」と呼んでいただいていいんですよ(笑)。
もう三十回近く訴えられていますが、いまだに負けなしです。
そんな私でも、今回の提訴には驚きました。 
メディアが同じメディアを訴え、さらに個人を訴えるという話は聞いたことがない。
政治家や企業がメデイアを訴えることはあっても、通常、メディア同士の争いにおいては「言論には言論で」応じるのが一般的ですし、メディア自身もそういってきたはずです。 
それなのにどうして今回、朝日新聞は執筆者個人と出版社を訴えたのか。
一体、どういう経緯があってこうなったのでしょうか。

スラップ訴訟に該当
花田 
小川さんの書籍が発売されたのが昨年十月末。
一ヵ月後の十一月末に、朝日新聞社広報部長名で「申入書」なるものが届きました。
十六項目について「小川氏の書籍にはおかしな点がある」とするものでした。
これに対して、期限までに小川さんと飛鳥新社が丁寧な返答をしました。
誤りがあれば訂正するし、反論があれば掲載の準備もある、と。
事実、次の版で訂正した個所もあります。 
ところが、朝日新聞側は〈回答の内容は承服できません。今後の対応について、弊社で検討いたします〉とサイトに載せ、その後、音沙汰がなかったのですが、十二月二十五日になっていきなり提訴を公表したのです。
須田 
しかも五千万円の損害賠償請求。
これも変な話ですが、訴状が届く前にネットに上げられていたとか。
門田 
朝日の提訴は、まさに典型的なスラップ訴訟です。
スラップ訴訟とは、裁判によらなくても名誉回復ができる力のある大企業が、フリーのジャーナリストやライターなどを訴え、自分を批判する論調を書く執筆者を威嚇し、言論を封じるために起こす裁判のこと。
朝日はやろうと思えば言論でいくらでも反論できるのに、一足飛びに裁判に訴えた。
非難されて然るべきでしょう。
花田 
朝日新聞って、朝刊一部で十七万九千字も掲載できるんですよ。
毎日、新書一冊分くらいの情報量を発信できる。
書籍に対して言い分かあるなら、紙面でいくらでも反論できる。
それをやらないまま、いきなり提訴。
こんなことはメディア史上、初めてのケースではないでしょうか。
須田 
小川さんは文芸評論家ですが、この「モリカケ」批判本を書くにあたっては取材もされているんですよね。
小川 
もちろんです。

朝日の訴状に“仰天”
須田 
前川喜平前文科次官が行っていたという、あの「いかがわしいバ-」にも行かれたとか。
小川 
「出会い系バ-」ですね(笑)。 
たしかに朝日新聞には取材していませんよ、記事そのものを論評している本なので、記者の感想や会社の見解を取材する必要はないんですから。
しかし、首相官邸関係者、大阪府関係者など多方面に取材しています。
そもそもこの本の要諦は何かというと、二〇一七年二月にまず森友学園問題が朝日のスクープから始まった。
そして、五月十七日に加計学園問題に関して例の「総理のご意向」文書が一面トップで報じられた。 
二つの問題に共通するのは、朝日新聞が「安倍疑惑」を書き立てたという点です。
「双方の関係者と総理夫妻は懇意だったのではないか」「安倍総理がお友達を優遇したのではないか」と、五ヵ月にわたって朝日新聞が主導し続けたのは間違いない。 
そして内閣支持率はこの間、平均六〇%前後だったのが、三〇%を切るまでに落ち込んだ。
「モリカケ問題で安倍総理は説明責任を果たしていない」という理由です。
これが「大事件」で、ロッキード事件などのような金銭の絡む国際スキャンダルで一国の総理が失脚すると言うならわかる。
しかし、「モリカケ」はそうではない。
全くの嘘によって内閣が倒されようとしていたわけです。 
これは問題だと思った私は、昨年の朝日新聞の一連の「モリカケ」報道を六百本以上、すべて読みました。
読んでみた結果、「なにも分からない」(笑)。
どういう経緯で事件が起き、何が問題とされ、朝日はどこまでを把握して記事にしているのか、全く分からなかったんです。 
そこで森友学園が小学校新設を申請していた大阪府や、加計学園の獣医学部新設のために国家戦略特区申請を行っていた愛媛県今治市、日本獣医師会などの議事録を読むと、途端に全体像が見えた。
朝日が一所懸命、安倍総理や官邸と関係があるかのように報じてきたことが、全くのデタラメだったことが分かったんです。
これを「創作」「捏造」と評して、何の問題があるのでしょうか。
花田 
訴状は、全文を「朝日新聞コーポレートサイト」で読むことができるので皆さんにもぜひ読んでいただきたいのですが、その訴状の三ページ目には、なんとこう書いてある。
〈原告は上記両問題(注・森友、加計問題)について安倍晋三首相が関与したとは報じていない。安倍首相が関与していないことを知っていたこともない〉
須田 
本当にそんなこと書いてあるの? 
それこそ捏造じゃないんですか?(笑)
花田 
訴状にそう書いてあるんです(笑)。
とんでもないことですよ。
昨年来、六百数十件も「総理の関与」を疑わせる紙面を作っておいて、この言いぐさはないでしょう。
小川 
朝日の記事は、特に見出しが問題なんです。
五月十七日の一面の見出しは〈新学部「総理の意向」〉。
これは常識的に考えて、総理が関与したと断定して報じているに等しい。
こんなことを半年以上にもわたって毎日報道し続けたら、朝日の読者は「モリカケはやっぱり安倍さんが悪いんだ。それなのに説明責任を果たしていない」と思い込まされてしまいます。

「モリカケ」に疑惑なし
門田 
少し時間が経ってから、もう一度、冷静に振り返ってみることも必要です。
たとえば、森友報道が始まってからもう一年経っています。
いま、もう一度、そもそものところから考えてみれば、森友学園問題というのは、籠池泰典という理事長が、国有地売買の経緯で廃棄物処理などを理由に土地の値段を八億円も値下げさせたという話です。 
森友学園問題というのは、大阪府の小学校新設認可の問題や、財務省の近畿財務局などが話の中心であって、安倍総理は全く関係ない。
ただ、交渉のなかで、籠池さんが安倍総理や総理夫人の名前を出しただけの話なんです。 
何より最も重要なのは、森友学園が購入しようとしていた土地は、「大阪空港騒音訴訟」の現場だったという点。
上空を飛行機が飛ぶ騒音のある場所だったため、国が買い取らざるを得なくなり、国有地にしていた。 
一方、豊中市は、近くに大阪音大もできていたので、この周辺を文教地区にしたかった。
そのため、森友が買った土地の隣を公園にすべく、国から買い取ったのです。
この土地は、なんと国が14億円の補助金を投入し、実質98.8%値下げの2千万円で豊中市が購入しているのです。
さらには付近の土地を、豊中市は補助金で相殺、つまり100%値下げしてタダで購入し、現在、給食センターにしています。 
こういう土地の性質を籠池さんが知っていたのか、もっと安くしてくれと交渉していて、86%値下げした段階で、朝日新聞が「不自然に値引きしている」と報じた。
しかし、安倍さんはこの一連の経過にまったく何の関係もない。
この経緯自体、安倍さんは全く知らなかったのではないでしょうか。
須田 
それでも、今年に入ってからもまだ国会ではモリカケに関する追及が続いていて、特に森友学園問題では近畿財務局が悪いとか、元理財局長の佐川宣寿さんが悪いとかいった問題に飛び火していますよね。
もちろん、朝日もこれに追随しています。
こういった姿勢を曲げない朝日新聞と、小川さんはどう戦っていくんでしょうか。
小川 
訴状では、私の本によって朝日の名誉が毀損されたという摘示事実が十三ヵ所あります。
ところが、その十三ヵ所は「事実」で争っていないんです。
須田 
どういうことですか?
小川 
私の「表現」を批判しているんです。
たとえば、朝日の記事を読んだ感想として、「……以上のように二ヵ月半にわたって朝日新聞は前川一人の証言をもとに報じ続けたのである」と書きました。
誰が読んでも分かるように、これは「ほとんど前川一人の証言で紙面を持たせていたようなものだ」という要約的表現ですよね。
ところが朝日新聞はこれに対し、「前川一人の証言に拠って報道した事実はない」と言ってくる。
「あの人にも聞いた、この人の証言も載っている」と列挙するわけです。
そりゃそうでしょう。
前川一人で二ヵ月半にもわたって紙面を作るなんてこと、世の中にあり得るわけがない。 
普通の読解力があれば、「ことさらに前川証言に拠っていた」ことを指摘したことくらい、分かりますよね。
しかし、朝日はこういう言いがかりをつけてくるんです。
花田 
例の「安倍叩きは朝日の社是」という言葉もそうです。
朝日新聞はこれに対し、「そのような事実はない。
社是に『安倍叩き』は入っていない」と言ってきた。
須田 
そりゃ入ってないでしょう(笑)。
花田 
言わなくても分かると思いますが、「そう言われても仕方がないくらい朝日は安倍総理を叩いている」という話です。
この稿続く


2024/5/22 in kyoto

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