笠信太郎が米国の代理人となって集めた7社には、共同通信も入っていますから、地方紙にも配信され、社説として掲載されます。

2024年05月25日

本稿(初出:2018年5月25日、2024年5月25日付)は、渡部昇一と高山正之の対談(書籍第4章「最大の戦後レジーム・朝日新聞のメディア専制」)を紹介しながら、戦後日本の言論空間を事実上支配してきた朝日新聞と、その対米パイプの実態を批判的に描き出すものである。
著者は、友人に強く勧められて購読したこの書籍を「活字が読める日本国民全員にとってこれ以上ない必読書」と位置づけ、朝日新聞など活字メディアと、それを教材として育ったテレビメディアの人間、さらに野党議員や小泉進次郎ら与党政治家が、なぜここ1年半もの間「異様な振る舞い」を続けているのかが、この章だけで“完璧に”理解できると述べる。
対談部分では、まず「かげりが見えた朝日の天下」として、朝日の神通力が落ち、日本を攻撃するだけでは社会的地位を得られない時代になり、知識人ですら産経を読んでいないと発言できない状況が生まれていると指摘。高山は「日本を立ち直らせるにはメディアがまず立ち直らなければならない」とし、トランプ大統領誕生をいまだ理解できず総攻撃を続ける米国メディアと、安倍政権への扱いを重ねて批判する。
核心部では、朝日の戦後出発点にあったのは「米国との非常に深いパイプ」であり、緒方竹虎と笠信太郎がCIAやダレスの対日工作のエージェント的役割を果たしていたとする。アメリカは、日本と中国が再び手を組んで覇権を握ることを「黄禍(イエロー・ペリル)」として恐れ、日本・朝鮮・中国の対立と極東の不安定化を戦略として維持していた。その中で、緒方急死後、スイス・ベルンでOSS支局長ダレスと水面下交渉をした縁をもつ笠信太郎が「対米窓口」となり、1960年安保闘争の最終局面で「暴力を排し 議会主義を守れ」という7社共同社説をまとめさせた経緯が描かれる。
共同通信も含まれるこの「七社共同宣言」は地方紙にも配信され、社説として全国に載り、東大生・樺美智子死亡で沸騰していたデモ隊は、6月17日の宣言を境に18日以降ピタリと沈静化したとされる。高山はこれを「完全なメディア専制」と呼び、朝日の路線は安保反対・岸内閣打倒を煽りつつも、「日本が本当に社会主義革命に傾くことは米国の思惑を超える」として土壇場でハシゴを外したと読む。
続いて、高山は「朝日はマルクス主義に占領されている」という一部OBの説明を退け、「反日だったらなんでもよい」という放埒な動機しかないと主張。笠信太郎存命中は、米国のコントロールの下で“不安定化はするが革命は許さない”一線があったが、その死後は対米窓口不在となり、「手綱を外された犬のように」反日を吠え続けるのが現在の朝日論調だとする。
その証拠として、2010年9月11日付夕刊の「レイテ 老いゆく証言者たち」連載で、日本兵に殴られたコブが70年消えないとする「レイテの老人」の記事を取り上げ、「脂肪腫をコブと偽り、日本軍残虐性を示す生き証人のようにカラー写真付きで載せる」「デスクも記者も嘘と知りながら裏取りもせず、日本軍を貶めるためなら何でも書く」と批判。
2016年の中日・東京新聞による「新貧乏物語」貧困女子中学生ねつ造記事を、少なくとも5ヵ月後に虚偽を認めた点でまだ自浄作用があったとしつつ、「朝日は虚報を嘘と認める能力も自浄作用もない」と指摘。デスクがチェック機能を果たさず、「反日無罪」を合言葉に“ワッショイ”で記事を作る「おかしな新聞」と断じ、「消えないコブ」を「天然記念物」「世界遺産」と皮肉りながら、読者もそれを信じて読む構造そのものを日本の言論空間の深刻な病理として告発している。

笠信太郎が米国の代理人となって集めた7社には、共同通信も入っていますから、地方紙にも配信され、社説として掲載されます。
2024年05月25日


2018/5/25
以下は有数の読書家である友人から強く勧められて購読した書籍である。
活字が読める日本国民全員にとって、これ以上ない必読の本である。
読者は今すぐに最寄りの書店に購読に向かうべきである。
朝日新聞などの活字メディアや、これを購読・精読して育ったテレビメディアで生計を立てている人間達と、
国会議員として生計を立てている野党や小泉進次郎等の与党の政治屋たちが、何故、この1年半、あのようなことを行っているのかが、
同書p146、第四章 最大の戦後レジーム・朝日新聞のメディア専制、だけでも完璧に分かる本だからである。
見出し以外の文中強調は私。

かげりが見えた朝日の天下
渡部 
私は高山さんのお書きになるものを、見逃さず読むようにしていますが、本当に痛快ですね。
これだけ徹底して、朝日を批判し続けたのは高山さんしかいません。 

ここ数年、朝日新聞の神通力が衰えてきて、日本の言論人が南京虐殺を言いふらしたり、慰安婦でも何でも、日本を攻撃しているだけでは社会的地位を得られなくなってきました。 
多少の知識人なら、いまや朝日ではなく産経を読んでいないと、発言できないと感じているのではないでしょうか。
高山 
ありがとうございます。
朝日にはいまだに、これはおかしいと思うような記事ばかりが載っています。 
日本を立ち直らせるには、メディアが真っ先に立ち直らないといけない。 
米国がいい例で、トランプがなぜ大統領になったのか、いまだにメディアは分かっておらず、現実を認めまいと総攻撃を続けている。
安倍政権に対しても同じことが起きています。
渡部 
憲法と占領政策を称える連中はどうもおかしい、まともなことをいう人は、どうも敗戦利得者にはいないようだと、多くの人が気づくようになっています。 
日本を攻撃して儲けてきたマスコミや文化人は、口移しで後進にも同じことをいわせて、日教組も子供たちに「すべて日本が悪い」と教えてきました。 
敗戦利得者たちの悪影響はいまだに尾を引いていて、反日的言論で地位を築いた人は、新たな歴史的事実が出てきても、メンツがあるからいまさら持論を引っ込めるわけにはいかないでしょう。
高山 
まさに朝日新聞がそれだと思いますが、戦後の出発点となる時期、朝日のコア(核)となっていたのは米国との非常に深いパイプです。
緒方竹虎(朝日新聞元主筆、代表取締役)しかり、笠信太郎(朝日新聞元論説主幹)しかり。 
緒方は政界にも進出しましたが、CIAの協力者であり、ダレスの対日工作のエージェントでした。 
アメリカが最も恐れていたのは、日本が戦前のように力をつけて中国を従え、日支が協力して手を携えれば、世界の覇権を取らないと誰が断言できるか、とムッソリ-二が心配した事態であり、これこそ「イェロー・ペリル(黄禍)」と彼らが呼んだものの正体です。 
そうならないように、極東アジアの国際情勢、日本とその周辺は常に不安定にしておく。
日本と朝鮮と中国の対立状態を継続させて、日本国内も混乱させる。 
こうした戦略の信奉者であるダレスとつながっていた緒方竹虎が1956年に急死すると、笠信太郎がスイス以来のよしみで後を引き継いだ。 
笠信太郎はヨーロッパ特派員として滞在していた45年のスイス・ベルンで、米国OSS(戦略情報局、ClAの前身)支局長だったダレスと、水面下の対米和平交渉を行っていた縁がありました。 米国とつながっていた証拠のひとつが60年安保の七社共同宣言です。
朝日は59年に『朝日ジャーナル』まで創刊して、安保反対、自民政権打倒を煽り立てます。 
デモ隊と警官隊の衝突で東大の学生だった樺美智子が死亡しました。
すると警視庁発表で約13万人(主催者発表33万人)のデモ参加者が猛り狂い、騒然となる。
ほとんど革命前みたいな熱気がみなぎると、笠信太郎が在京新聞社・通信社を集めて「暴力を排し 議会主義を守れ」との共同社説を掲載させた。
仕掛けたのは電通といわれていますが、私は笠信犬郎に間違いないと見ています。
渡部 
なるほど。あれはハシゴを外したようなものでしたな。
高山 
土壇場で革命が起きるのを禁じた。
『朝日ジャーナル』も含めて、朝日の路線はずっと安保条約改定反対と岸内閣退陣でした。 
政府を倒し、国会議事堂の占拠まで煽っておいて、ここで本当に革命が起きてしまい、日本が不安定を越えてホントに社会主義国家になってしまったら米国の思惑を飛び越えてしまう。
急ぎ手を打ったということでしょう。 
笠信太郎が米国の代理人となって集めた7社には、共同通信も入っていますから、地方紙にも配信され、社説として掲載されます。 
615日の樺美智子の死であれだけ暴れたデモ隊の連中が、17日の7社共同宣言で、18日以降ピタリと沈静化してしまいます。
完全なメディア専制でした。
渡部 
その通りで、絶大な影響力を持っていました。
高山 
その後、今にいたる朝日の論調をどう考えるべきか。
長谷川煕や永栄潔などの朝日OBは、朝日新聞はマルクス主義に占領されているから「日本が悪い」という価値観で事実を見る目が曇るのだといいます。
私は、それは違うと思いますね。
マルキシズムという思想にかぶれているからではなく、「反日だったらなんでもよろしい」という、放恣な思惑しかない。 
それでも、笠信太郎の時代までは、米国のコントロールの下、メディアが政治と社会を混乱させ、安定させなかった。
でも、革命までは許さないという最後の一線が存在していました。 
しかし笠信太郎が亡くなると、対米窓口役を引き継ぐ人材がいなくなった。
だから、手綱を外された(unleashed)犬みたいに、反日を吠えてあたりかまわず走り回っているのが、今にいたる朝日新聞の論調です。
マルクス主義とはあまり関係ないように思います。 

その証拠となる記事があります。
2010年9月11日付の夕刊「レイテ 老いゆく証言者たち」という連載記事で、「レイテで草ぶきの簡素な家に住むフランシスコ・ディアスさんは95歳。首の後ろにある小さな握り拳ほどの大きさのこぶをさすりながら記憶をたぐった」。
老人の後頭部を写した写真が載っています。 
「日本占頷下の1943年、ディアスさんは日本兵に頼まれて仲間数人と川で水をくんでいた。そこに別の日本兵の一団が来た。兵士は銃でディアスさんの首を殴りつけた。こぶはその時にできた」。銃の台尻で殴られたコブが、70年間腫れっぱなしだというわけです。
渡部 
こんな首のうしろにタンコブは生えません。
見てすぐに分かりました。
私も最近転んでものすごく大きなコブが出ましたが、コブというのは引っ込むものです(笑)。
70年間引っ込まないコブはありません。
高山 
ただの脂肪瘤をコブだと言い張り、大きくカラー写真入りで載せ、デスクも注意しない。
じやあ金日成は日本軍に殴られてコブができたのか、誰でも嘘だと分かる話です。 
日本軍は残虐だったと言いたいがために、半世紀以上隠されてきた生きた証だという馬鹿げた記事を載せる。 
これが何を意味するかといえば、裏も取らずに書いている記者も、上司も100%それが嘘と知っている。
新聞記者として真実を伝えようなんて気持ちもない。
ひたすら日本人と日本軍を貶める。 
日本軍の悪を宣伝するためなら、嘘でも何でもかまわないという論調がよく表れています。 
2016年、中日新聞と東京新聞が、「新貧乏物語」という連載記事で、女子中学生の貧困のエピソードを記者がねつ造し、「原稿をよくするために想像して書いてしまった」と5か月後に嘘を認めました。
公表するだけましです。
朝日は、嘘の記事を嘘と認める自浄作用も、能力もないのです。
渡部 
でたらめな記事をチェックしないのなら、何のためのデスクか。
いいかげんな連中が反日で「ワッショイ、ワッショイ」とやりながら作っている印象です。
高山 
反日無罪を唱えるためだけに存在している、おかしな新聞です。
こういう誰もが嘘と分かる記事を書き、写真を載せて恥じない。
読者も「日本軍はひどいねえ」と信じて読んでいるわけですから、どうしようもありません。
渡部 
おもしろいですね、消えないコブの研究なんて(笑)。
高山 
天然記念物です。
世界遺産になりますよ(笑)。

この稿続く。

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