もう一人、
地方経済の荒廃を救うには「安楽死」より「劇薬」だ
慶応大学大学院教授 岸 博幸
菅さんのままなら、日本経済は「安楽死」します。
菅さんの政策は官僚の言いなりで、90年代の自民党と何も変わりません。
一方の小沢さんは「劇薬」です。財政出動を図る彼の政策は短期的には成功するでしょうが、長期的には副作用がある。しかし?今の日本は小沢さんに賭けるしかないと思います。民主党政権になって、地方経済の荒廃は目を覆うばかりです。
地方のゼネコンの社長に会うと、名刺を2、3枚渡されることが多い。前原誠司国土交通相が公共事業を18%もカットしたことで、もはや本業だけでは生活ができず、介護や福祉事業に手を広げているからです。
しかし、施設基準などの規制緩和が進まず、コストがかかるばかり。補助金も不十分なので、従業員に給料を払うために社長が月10万円で生活しているなんてケースも出ています。~民主党政権の政策は、地方に死ねと言っているに等しいんですよ。
多くの人が、民主党なら日本を変えてくれると思っていたのに、この停滞感はどうしたことか。
私は、民主党のりーダーたちは政策立案の経験がないことに加え、「もしかしたら自分も総理になれるかも」と思って慎重になっているのではないかと懸念しています。
亀井静香前郵政改革相が郵政民営化を逆に戻した時、その問題点を最もよくわかつていたはずの若手たちは批判しませんでした。普天間問題も沖縄との調整がつけられないままだし、八ツ場ダム問題も地元との調整に進む打開策が出てこない。
これと似た状況は、霞が関でよく見かけました。
それまで革新的な政策を主張していた官僚が、部長や課長ポストに就いたとたん、「自分も局長になれるかも」と、急に従順になる。
官僚排除の民主党ですが、実はよく似た体質なのです。
最悪なのは官僚任せの政策立案。菅さんが先日、中途半端な景気対策を発表しましたが、翌日には株価は大きく下落し、円高も進みました。それは当然です。官僚ができることだけを羅列したB級の政策に、市場は反応しませんよ。
小沢さんならデフレから脱却できるか、となると、正直、それもわかりません。しかし、日本経済がここまで危機的状況に陥った以上、最後は信頼できる政治家に任せるしかないのではないか。少なくとも、小沢さんなら、リーダーとしてこの国を引っ張ってくれるのではないかと信じたいですね。
黒字は芥川。