小沢氏の本音 前段…週刊朝日2010年9月17日号より。
政権交代後の民主党に落胆したという俳優・菅原文太(77)が、小沢氏の本音に迫った。
―小沢さんの地元は岩手県の水沢です。私は宮城県だけど、岩手寄りの栗原で、鳥ならひとっ飛びの距離です。今日初めてお目にかかりますが、テレビなどで拝見する小沢さんは東北人そのものですね。シャイというか、照れ屋というか。自己表現があまり上手じゃない。
いやあ、僕は昔ながらの口下手な東北気質が抜けきらなくて。
―だけど、そんな小沢さんは「最後のサムライ政治家」じゃないかとお見受けしているんです。頑固に自分を貫こうとするから、誤解も多い。でも、男は絶対に言い訳しちゃいけない。
おかげで、すっかり嫌われ者です。(苦笑)
-私も映画界では煙たがられてますから(笑い)。さて、小沢さんに聞きたいことがたくさんあります。いきなり核心で恐縮だけど、まずは……。
「政治とカネ」の問題ですね。(笑い)
―そうです(笑い)。資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る政治資金規正法違反事件で、検察審査会がもう一回、「起訴すべきだ」と議決すれば、小沢さんは強制起訴されます。
僕には一切、やましいことはありません。仮にそうなったとしても、堂々と潔白を主張します。国家権力である検察の強制捜査を1年余り受けて、その結果、何ら不正な事実も犯罪行為もなかったことが証明されていますから。
逃げるつもりはありません。政治資金について、なんだかんだと疑惑を持たれていますが、僕は事務所費も含めてすべて開示しています。
僕はずっと昔から、政治資金はすべてオープンにすればいいと言ってきた。誰からもらって何に使ったというのがわかれば、あとは国民が判断する。クリーンだ、透明だ、と言っている人で、すべて公開している人はいません。もしクリーンだと言うならば、どうぞ、ご自分の政治団体をオープンにすればいい。
―小沢さんには息子さんが3人いるそうですね。最近も、仙谷由人宜房長官の政治資金を巡って、事務所費や人件費の名目で息子側にカネを出したといった疑惑が取りざたされていますが、息子が3人もいるのに誰一人として政治の世界にいないっていうのは、いいねえ。(笑い)
僕は、息子たちにはまったく干渉しないで、好きなようにしろと言ってきたんです。(笑い)
―それぞれの道を行く。男は、そうでなくちや。昨夏の政権交代で、私は政治の世界を見直すようになりました。ただ「新しい酒は新しい革袋に」のはずなのに、革袋は新しくても、中身は古い酒のままだ。特に「官僚依存」はますますひどくなっていませんか。
権力構造においては、最後はトップリーダーの判断がすべてです。
内閣でいえば、個々の大臣や副大臣は、各省の利益を代表する立場でもありますから、どうしても自分の省庁の予算を削ったり、人員削減したりができなくなってしまう。だから、最後は首相が勇気を持って判断しなくちゃいけない。
官僚も優秀な人ほど、今までと同じことをしていたのでは日本は持たない、と感じつつある。でも大勢の仲間の既得権益にかかわる問題ですから、一官僚の立場で「変える」とは言いだせない。
民主党の人間は政権を知らない
そこは、リーダーである政治家が「この方針でいってくれ。最終的にはオレが責任を取る。だから君らも協力してぐれ」と言わないといけない。政治家が自分で責任を取る覚悟を持ってやらないと、役人は絶対に言うことを聞きません。いざという時に自分たちのせいにされたらたまらないですから。
-でも、実際は、官僚にいいように丸め込まれている印象だな。
民主党の人たちは、ほぼ全員が、まだ政権というものを知らないんですよ。官僚機構というものや、官僚が何を考えているかがわかっていない。だから、無理もないんですが、役人との力関係で最初から圧倒されてしまう。官僚たちは、いい意味でも悪い意味でも手練手管で、知恵がありますから、負けちゃうんです。それで、自民党時代と何も変わってないじゃないか、という話になっちゃう。
―国民は、せっかく政権交代したのに、そのメリットがまったく得られていないところに不満を感じています。小沢さんは、それをもどかしく思って出馬したんでしょう?
官僚丸投げの政治・行政を変えるのは、トップリーダーの決断しかありません。僕は総理大臣のような華やかなところは好きでないので、今回けっこう悩んだんですが、やはりその役割から逃げてはいけないと思った。討ち死にしても、その役割を果たして、次の世代に引き継いでいく。それが自分の最後の役割じゃないかな、という思いを持ったんです。
芥川…これは120分の独占インタビュー記事の前半部分です…例えば今のTVで120分も流せるでしょうか?一人の人間の事や、事象の真実を追求する事が、細切れの話や、それゆえの感情論等の、瞬間芸の様な中で出来る訳はないのです。