青木さんの労作、続き。

つい最近のこと、高検検事長を務めた大物ヤメ検の弁護士から次のような話を聞かされ、私は溜息をついた。このヤメ検弁護士の収入に話が及んだ時のことだ。「収入?いくつか引き受けている企業の監査役や社外取締役だけで年間3千万円は軽く超えている。検事長経験者としては、多くもなければ少なくもない、ごく平均的な額だと思うよ」 

 

彼が監査役などを務めるのは、社名を聞けば誰もが知っているような企業ばかりだ。しかも、実際にそれぞれの会社に出向くのは月に1、2度の役員会だけ。それでもI社あたり月額50万~100万円の報酬を得ているという。

 

こうした例は枚挙にいとまがない。事実、一流とされる企業の役員名簿を眺めれば、いくつもの社の監査役や取締役に検事総長や検事長、あるいは大規模地検の検事正などを務めた。“大物ヤメ検”の名を見つけ出すことができる。


 

都心の一等地に弁護士事務所を構えている別の検事長経験者も、こんな風に打ち明けてくれた。「弁護士としてやりがいのある仕事以外は引き受けるつもりはない。監査役などの収入で事務所は十分維持できるし、つまらぬ事件の弁護なんかやりたくもないからね。それでも先輩(の検察OB)から頼まれて断れないことは多いが……」 そして、こうも言う。


 

「刑事事件の弁護では、着手金で最低数百万円は頂戴する。それでも随分と良心的なほうだ。中には着手金だけで何千万円も平気で請求するヤツもいるし、ある特捜部長経験者なんて書類を1通作成しただけで100万円取ったと聞いたことがある(笑い)」

 

これは、検事長などにまで上り詰めた一部ヤメ検の話ではあるが、法務・検察内でそこまで栄達できなかったヤメ検にも、手厚い待遇は保証されている。法務省がヤメ検の。再就職口”として、公証人への。職業斡旋”を行っているのだ。

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