奉った神が違うだけ。
パソコンが登場して、たったの30年だったとは、言われてみると吃驚の典型的なものだが、逆から見れば、この30年までは、既成、既存のメディア…新聞、雑誌、テレビの全盛時代だった訳である。
前章の様なマスメディア全体主義は、深い所というか、本質的には、戦前と何ら変わらないものだったのである…各界の本当の本物たちが登場する事は殆ど無く、一部の者たちだけが、連日、24時間に渡って登場し、知性とは全く無縁の感情的な世論を作って来た。
失われた20年に反比例して大金を稼ぎ続けた芸人たちやetc.は、胸に手を当てて見れば、直ぐに分かるだろう。自分たちが戦前の人間と何ら変わりがないことが。かつては、「日本教」を奉り、今は、それぞれに、インチキで、軽薄で、出鱈目で、ちゃちな神を奉って来たのだと言うだけのことで。
世界に相渡れる、世界に通じる知性では、全くなかったものであることは、一緒なのだ。と
©芥川賢治