続き。
さらに、天下りを「現役出向」にすり替えたことについては、厚労省の中堅官僚はホクホクしながら言った。
「仙谷さんは、今や、すっかり。官僚の守護神だ。新厚労相の細川律夫さんも、なんでも聞いてくれる、すごくいい人」 完全になめられているではないか!
菅首相が所信表明演説で 「今国会の最大の課題」と位置づけた緊急経済対策のための補正予算案も、霞が関では「史上最低のホチキス」と揶揄されている。
霞が関用語で。“ホチキス”とは、「官僚が持ち寄った施策案の紙を、政治家がそのままホチキスでまとめて案にする」ことを指し、自民党政権下でもしばしば使われてきた。だが、今回の予算案は、その類のなかでも「史上最低」なのだという。
「民主党の代表選が終わるまで、誰が首相になるかわからなかったから、予算案は臨時国会直前まで作れなかった。予算を査定する立場から見ると、昨年の政権交代で執行停止になったものと似た項目が並んでいるな、って印象です」(ある財務官僚)
菅首相の続投が決まって、ようやく予算作成の方針が示されたが、具体的なのはスケジュールの指示ぐらいで、内容は丸投げ。しかも成立の道筋も見えない状態なので、各省とも本腰を入れず、係長クラスの作文をそのまま内閣に提出したようなものだったという。
地方議員経験のある民主党の中堅議員は、ため息交じりにこうつぶやいた。
「うちの若手は優秀だけど根性がないからなあ」
根性がないから信念がない、信念がないから尺度がない、尺度がなければ目的が定まらない、目的が定まらないと迷走する、迷走を取り繕うために言い訳をする、言い訳をしているうちに既得権益に取り込まれる……。こんな6段論法が現実になるなんて、カームラの腰も抜ける。
本誌・川村昌代