ルフトハンザ航空日本支社長、オットー・ベンツさんの夢。

同じく、今朝の朝日新聞から。

羽田・成田30分で結ぶ鉄道を

オットー・ベンツさん
ルフトハンザドイツ航空日本支社長
 
日本に着任して7年になります。日本政府が羽田、成田両空港の外国航空会社への開放を進めていることを、私たちは大いに歓迎しています。

空港にとって重要なのは、より多くの空港と「つながっていること」です。ドイツにはフランクフルトとミュンヘンの2ヵ所に、ヨーロッパでも有数の規模のハブ空港(航空網の結節点となる空港)があります。欧州各社便で見ると、アジア・太平洋地域から飛んできてハブ空港経由で向かう欧州内の目的地の数で、フランクフルト空港が1位、ミュンヘン空港が2位です。

両市とも都市自体はロンドンやパリより小さいですが、欧州の外から来た乗客を欧州全域につなぐ、大きな役目を担っています。
 
ドイツはヨーロッパの中央に位置しており、ここに二つのハブ空港があるのは理想的です。なかでもミュンヘンは、18年前に開港した若い空港です。利用客の利便性を第一に考えてつくられた空港で、ビールもおいしいと評判です。乗り継ぎ時間は国際線から国際線、国際線から国内線ともに約35分です。

スピード感のある、効率的な空港です。ローマやバルセロナなど域内の主要な目的地に1日に5、6便飛んでいます。通常は朝昼晩の3便でハブ空港と言われますから、この空港の水準の高さを分かってもらえると思います。
 
現在、日本の地方都市からヨーロッパに向かう場合、韓国の仁川空港を使う方が便利かもしれません。もし私か札幌に住んでいてフランクフルトに行こうと思ったら、新千歳空港から羽田、成田と移動するのではなく、仁川に飛んで欧州便に乗るでしょう。これは利用者がつくる「空港マーケット」の結果です。
 
アジアは大競争のさなかです。日本は競争力を高めるためにも、羽田は国際線を、成田は国内線を、それぞれ増やすべきです。

真のハブ空港になるには、世界各地の、たくさんの接続便を持つ空港とつながる必要があります。羽田と成田がひとつのシステムとして働き、こうした役目を果たすことを願っています。
 
ただ、よく言われることですが、私たち航空会社にとって、日本の空港は着陸料などコストが高いのが悩みです。「世界で一番高い空港」とさえ言われています。日本の今後のためにも、変えてもらえないでしょうか。
 
ヨーロッパでは国を越えた航空会社の統合が進みました。いわゆるメガキャリア (巨大航空会社)化です。アジアはヨーロッパに比べて市場や法律、制度が一つになっているわけではないので、同一には論じられません。ですが、激しい競争によって今後、それぞれの国内で統合が進むかもしれません。
 
ルフトハンザドイツ航空が初めて羽田空港に定期便を就航してから来年で50年になります。国内線が多数つながる羽田には、いつか戻りたいと願っています。
 
私の夢は、羽田と成田が高速鉄道で直接つながることです。所要時間ですか? 30分です。

地方の利用客は羽田に来て、30分で移動して、成田から海外に出る。海外の利用客はその逆のルートで日本各地に飛ぶ。それがあたかも一つのシステムとして働く。それが私の夢です。
(聞き手 刀祢館正明)

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