この記事は、ニューズ・ウィークと週刊朝日ぐらいしか、日本には…
ラーナ・フォルーハー(ビジネス担当)、アイザック・ストーン・フィッシュ(北京)、途上国を装う中国の身勝手、Newsweek日本版2010.11.10, P26-P29.
世界経済
経済力は先進国と同等以上なのに
国際社会での責任は果たしたくない
二枚舌を続ける中国が追い込まれる「袋小路」
上海万国博覧会が10月31日、閉幕した。万博はもともと、世界各国の歩んできた過去と目指す未来を紹介するイベントだったが、その意味で、中国館の壮麗なマルチメディア展示は注目に値する。
館内では、中国人一家の30年間の変化と進歩が20分のミニ映画で表現されていた。まず最初のシーンー4人家族が1部屋だけの質素なアパートに腰を下ろしている。着ている服も食器も同じくらい質素だ。
この生活の情景は徐々に変わっていく。ラジオが白黒テレビに替わり、さらにカラーになる。テレビの画面を見ている家族の人数は増え、服装も良くなる。BGMの音楽が盛り上がるのに合わせて、家族はいつの間にか豊かになり、欧米風の生活を楽しむようになる。
そして最後の場面-大人数の家族が暮らしているのは都心の高層マンション。薄型テレビと高級家具に囲まれた人々がアメリカ風の巨大なケーキで男の子の誕生日を祝っている。
中国の上・中流層にとってこの映画は現実だ。改革開放政策の開始から30年。上海の街を少し見ただけでも、変化の大きさは実感できる。通りには欧米ブランドのブティックやフランス料理の高級レストラン。走っている車はBMWやベンツばかりに見える。
現在もまだ途上国だと言い張る中国だが、上海を含む中国沿海部には、年収1万ドル以上の中流層が無数にいる。米証券大手メリルリンチとフランスのITコンサルタント大手キャップジェミ二が発表した最新のリポートによると、中国を含むアジア太平洋地域の富裕層の資産額はヨーロッパを超えた。
さらに中国の長者番付を発表している上海の富裕層向け雑誌・胡潤百富の創業者ルバート・フージワーフの推定では、今の中国は資産10億ドル以上の超富裕層が世界で最も多い国だという。
国家全体の富は個人を上回る勢いで増えている。中国は今年、日本を抜いて世界第2の経済大国になる。
世界銀行によると、13億の人口を抱える中国の1人当たり国民所得は世界100位前後にすぎない。だが、この数字は信頼性の低さで有名な中国の公式統計に基づいている。例えば贈与や未申告のボーナス、不動産の闇取引など、巨額の「グレー所得」は計算に入っていない。
世界の成長エンジンだが
中国経済改革研究基金会国民経済研究所の王小魯教授が金融大手クレディースイスのために行った調査によると、中国の上位10%の世帯の年間所得は2万700ドル。公式統計の3倍以上だ。中国当局が自国通貨の人民元を人為的に低く抑えていることを考えると、実質的な所得はさらに多いとみていい。
中国は既に世界第5位の消費大国になった。一部の地域では、過去数年間に労働者の賃金が年25%のペースで急上昇した例もある。今年の夏、外国企業の工場で労働争議が多発し、当局がそれを黙認したことを考えれば、賃金の上昇は今後も続きそうだ。
中国は金融危機と景気後退の時期にも9%前後の経済成長を続け、世界最大の対外資産を積み上げた。外貨準備高は2・6兆ドルを突破。今年末にはさらに3000億ドル増える見込みだ。
かつての中国は投資対象だったが、今は投資の主体に変わりつつある。多額の資金を持つ国有企業は外国で天然資源と企業を買いあさっている。
ベンチャーキャピタルの主役も中国人の手に移ろうとしている。今では中国国内のプライベートーエクイティ(未公開株)に対する投資の50%近くが中国企業の運用だ(5年前はほとんどゼロだった)。さらに5年後には、プライベートーエクイティ市場の70%前後を中国企業が占めるとみられている。
IMF(国際通貨基金)は今も中国を「途上国」に分類している。しかし世界の大勢はこの評価を見直す方向に進んでいる。 クレディースイスやゴールドマン・サックスのような欧米の金融大手は、中国を新興市場の分類から除外し、独自のカテゴリーを新設した。「中国のパワーは途上国のレベルをはるかに超えている。巨額の外貨準備を通じて影響力を行使する途上国など世界の歴史に存在しなかった」と、中国の政治経済問題に詳しい米ノースウェスタン大学の研究者ビクター・シーは言う。
実際、中国は世界経済の成長エンジンだ。09年の世界全体のGDP成長率の50%前後は、中国の経済活動によるもの。中国政府の景気刺激策は2200万人分の雇用を生み出した。
以下略。
この記事は、ニューズ・ウィークと週刊朝日ぐらいしか、日本には、ジャーナリズムと呼べる週刊誌はないことを明示している。
これで、3分の1ぐらいですが、今の民放テレビなら、たったこれだけのことを知らせるのに、1ヵ月はかかるんじゃないか。…そもそも、知らしめることすらできないだろう。
だから20年の停滞が生まれたんだ。「笑い」は、自分の身近なものから与えられ、或いは与えられるように生みだすもの。元々、商売にするもんじゃない。…大き過ぎた損失だ。