今朝の日経一面から。

 三菱自動車が先陣を切って発売し、米欧などが後を追う電気自動車(EV)。出遅れた中国メーカーが日参する新興企業が北京市内にある。2002年設立の阿爾特中国汽車技術。「デザインハウス」と呼ばれる自動車設計の専門業者だ。
 

すでに大手4社からEVの設計を受注。メーカーは外観などを決め、阿爾特の図面に沿ってエコカー用電池などを組み立てれば車が完成する。EVは部品点数がガソリン車の3割程度とされ、開発のハードルは下がる。
「11年には株式公開したい」と語る創業者の宣奇武董事長は三菱自の技術者だった。社員880人のうち日本人が50人で、日本にも拠点を持つ。日本のノウハウを生かし、中国で自動車開発の新たな姿が根付こうとしている。
 

アジアの経済発展は1990年代まで、欧米発の技術やサービスを受け入れた日本を、他の国・地域が追いかける形で進んだ。雁(がん)の群れのように飛ぶ「雁行型」の発展だ。しかし00年代に入り、群れの形は大きく崩れた。
  

「業界で先進的な地位を得ることができた」(台湾・元太科技工業の劉早誠董事長)。元太は09年12月、電子書籍端末で採用が進む「電子ペーパー」の米社イーインクを2億ドル(約167億円)超で買収した。
 

元太は買収で、代表的な端末である米アマゾン・ドット・コムの「キン
ドル」向けの電子ペーパーを独占的に供給する立場を固めた。世界シェアは9割を超す。アジアに流れ込むマネーを武器に、電子ペーパー分野で群れの先頭に立った。

技術の進歩も群れの秩序を変える。「(日本企業を引き離した)薄型テレビや携帯電話端末と同じパターンだ」。韓国サムスン電子の幹部は高級デジタルカメラ分野での追い上げを宣言する。
 

きっかけは「ミラーレスー眼」と呼ぶデジカメの登場だ。従来の高級カメラではレンズから入った光を振り分ける光学部品が欠かせない。日本が職人技を生かして一手に供給してきたが、ミラーレスー眼はこの部品無しで高い画質を実現する。
 

サムスンは日本との光学技術の差を埋めるカメラとみて、今年1月に参入した。高度な作り込みを必要としないデジタル製品の普及は、群れの先頭のはずの日本と他国の距離を縮めていく。

負けるなよ。キャノン、ニコン、パナソニック、ソニー、カシオ。頼むぞ。何度も何度もサムソンに、してやられてたまるかだぞ…政府も目ん玉ひんむいて、支援するのだ。「政治とカネ」なんぞの虚構ゲームをやっている場合ではないし、その暇もないぞ。

…中略

「韓国や中国には、まだ世界に先駆けて独自商品を開発する基礎能力がない」(三井物産戦略研究所の杉山秀雄海外情報室長)。現在のアジアでは、群れの先頭の雁が産業分野や政策により猫の目のように変わる。力を残す日本も含めた発展の主導権争いは過熱していく。

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