昨夜の日経夕刊から。

ハーバードはアメリカの東大か? 寺澤芳男さん。

 

 学歴社会を論ずることは一種のタブーとなっているからやりにくい。しかし三十年も外国で暮らしていると日本にいまだにある学歴信仰が気になるので思いきって書く。      ‐

 

「ハーバードはアメリカの東大です」というとたいていの日本人はわかったような顔をしてうなずく。しかしその比喩は正しくない。

 

ハーバードは私立大学であり、国立の東大のように政府官僚のキャリアのほとんどがハーバード卒ということでもない。もちろん優秀な高校生が集まってくる大学だが、東大法学部のように「国家公務員試験や司法試験の予備校」(水木楊著『東大法学部』)ではない。

…中略

 

いま学歴はなるべく出さない作家やもの書きが多い。マスコミはいまだに「東大出」をタレントや歌手のウリにするから、加藤登紀子さんというと東大出と私の頭には刷りこまれている。

 

そんなに出身大学のことが気になるのならいっそのこと会社の名刺に「東大卒」と書いておけばよい。

 

選挙のとき国会議員立候補者で名刺の裏に出身地、大学名などを刷っている人を見かけるが、ビジネス用となるとそうもいかないのか。

 

むかしは官立(国立とはいわない)大学と私立大学と初任給に差をつける会社もあった。

 

発展途上国の場合は別として欧米先進国の中で、国立と私立の差をこれほどつける国はない。もちろんどこの国でも大学のブランド名は卒業後も役に立つ。しかし日本の「東大卒」の神がかり的な権威はない。

 

「国は亡びても東大は亡びず」なのか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください

前の記事

週刊文春、今週号から。

次の記事

12月19日午後4時過ぎ、