1月16日午後3時、雪交じりの二条城での家康殿との対話。
芥川殿、こんな天気だぎゃ、軽く酒でも酌み交わしたい所じゃが、政治の事を少しきかせてくれんかの。
うむ。わしは、貴殿には想像すらできない、まさに21世紀の紙で「文明のターンテーブル」として芥川の使命を果たしだしているのじゃが、これを書いている途中で、明瞭に見えてきたものがあったのじゃよ。その契機は、この時代に生きている例えればお主の様な資質を持った政治家が戦後60年して初めて選挙に依って政権をとる事が確実に成った時に時の権力から大変な迫害を受けたのじゃが、その権力に盲従・追従して国民を誘導する大新聞やテレビの酷さに我慢が出来なくなって嫌々ではあったが政治の世界に関わらざるを得なかったのじゃよ。
それで、何が分かったのじゃ。
思うに田中角栄と言うこれまた貴殿のような資質を持った政治家を「政治とカネ」という問題で血祭りにした連中がおるのじゃ。
「政治とカネ」とは何の言いいぞ。政治には金がかかるものではないのか。
ローッキード社と言う貴殿の時代には、これまた想像もつかない空飛ぶ物体で人を運ぶ或いは他国を攻撃する優秀な機械をつくったアメリカの会社があるのじゃが軍用機に傾斜し過ぎて民間機に注力していたライバル会社に差をつけられ出したわけじゃ。
なるほど。
焦った彼らは世界中にカネをばら撒いた訳じゃ。それまでの世界は共産主義と資本主義の対立世界だったのじゃが共産主義の劣勢は確定し軍用機需要は大幅に減ったのじゃな。 なるほど。 この当時は資本主義社会では右翼人脈というのが世界中にあったのじゃがそれを通じてカネをばらまいたわけじゃ。 なるほど。 各国の元首クラスたちが皆巻き込まれたのじゃが、そういう事の性質ゆえ何処も刑事事件にはしなかったのじゃが日本だけは国中をあげて大騒ぎをしてのう一部の者はこの事を契機として己の地位を上げたりした訳じゃよ。 なるほど。 しかし、この田中角栄という政治家は信長、或いは秀吉いや貴殿の資質も持っておったのじゃよ。 うむ。 日本の国富を著しく増進させただけではなく命綱と言ってもよい程の友好国であった米国が日本を袖にして中国と友好条約を結ぼうとしたのじゃ。 なんと、それは我が国の危機ではないか。 その通りじゃが、この時に、この政治家は加藤たいじんが言う所の電光石火の居合抜きという達人しか出来ぬ技を使って日中友好条約を結んだのじゃよ。 なるほど。 この頃、中国には毛沢東と周恩来という貴殿や信長、秀吉殿のような指導者がおったのじゃ。 うむ。 その結果、日本は危機を回避したばかりではなく中国と大いなる友好を結んだのじゃ。 うむ。 その現れが、今でも嵐山公園に顕彰碑としてあるのじゃやよ。 うむ。 天下第一統の名勝地である嵐山を称える詩文を献上したわけじゃ。 うむ。
貴殿も御存じの有馬温泉にも逗留してな、天下第一統の名湯と称えた詩文をも献上したのじゃ。 なるほど確かに、わしや秀吉殿のような人物じゃの。 長くなったから、ここらで一休みしようかのう。
