家康殿、そのいくつかの書類の中にじゃ。 うむ。
中学3年生の卒業式の前に書いたのであろう原稿用紙が出てきたのじゃ。 うむ。 まぁ、中学生が書いた他愛もないものじゃが、清書してみようかなと思うんじゃよ。 御意。 それにしても中学生時分のわしの字は、お主と似て、酷い悪字でのぉ。 ゴホ、ゴホ。その事にまつわる事は後日書くことにして。 そうして下され。
「巣立つ」 三年三組 芥川賢治
彼は 丸い大きな目だ。
彼は 無限の映像だ。
君の姿も 僕の姿も いつも写してる いつもみている。
いろんな人の いろんな世界を じっと写してる 澄んだ目で
彼は知ってるだろう 人生を
その無限の映像は 人生絵図かもしれない
だけど みたくない
なぜ? 僕は今巣立つのだ ひな鳥の命のように
春の青い芽のように 無心にのびるのだ。
どんなに 濁った川が流れていても
どんなに つらい山道があっても
たえて進むのだ。