原稿用紙(実は10枚だった)「狭き門」の清書を頼んで、笑ってしまったこと。
昼休みに、家康殿、お主の末裔の女御に、表題の清書を頼んだのじゃが。 うむ。 その時の彼女の応対に思わず大笑いしてしまったのじゃ。 うむ。 先ず、わしの字を見るなり言った言葉に驚いたのじゃ。「芥川さんて、中学生なのに、随分、大人びた文字を書いていたんですね」 うむむ。わしの字は考えてみれば昔の公家の様な書体で、見方を変えれば、確かにその通りで、家康殿の悪字とは違うかな、と。 およよ。問題は、その後じゃった。「T大で仕事をしていた頃、酷い字を一杯見ましたよ。こんな字を書いて、ようT大に行けたな、と何度も思いましたよ」。…この言い方の身も蓋も無さに、思わず大笑いしてしまったのじゃ。
「字の上手下手と頭は何にも関係がないんだって良く分かりました…」、そりゃ、そうだよ、頭の回転が本当に早い人間と言うのは、字を書くスピードが追いついてこないから、字が嫌になるというか、しまいに読めない字になってしまうんじゃよ。