ノスタルジアの考古学 ジョン・ボードマン著…3月6日、日経読書欄から。 

評者:東京大学教授 金森修

著者はギリシア考古学の大家。この本は大家だからこそ書けるものだ。常識的意味での事実に精通しているからこそ、文化の中に溢れかえる事実未満・事実以上のものへの感受性が鋭敏になる。…中略。

ニオベ。多産を自慢したために女神の怒りを買い、子供全員を殺されたために、悲しみのあまり石に変わってしまった哀れな女性。或る場所に実在する岩がその横顔にそっくりだとして、当時の人々はその岩を石化したニオベだと信じていた。この場合、神話が自然の事物と照合され、それなりの納得の対象になる。…中略。



3月5日、枳穀邸にて。

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