しかも、官邸はこのとき同時進行でもう一つの大きなミスを犯していた。米国からの支援申し出を、あっさ
しかも、官邸はこのとき同時進行でもう一つの大きなミスを犯していた。米国からの支援申し出を、あっさりと断っていたのだ。
「12日未明、米国からホットラインで、非常用冷却材などの消火機材提供の申し出があったが、官邸は、東電の意向に従って保留にした。
米国の申し出は原子炉の廃炉を前提としていて、『自分たちで対処できる』と言い張る東電と相いれなかった。
あのとき受け入れていれば、現在の深刻な事態を回避できたかもしれなかったのに」(官邸周辺)
内閣府の原子力委員会で専門委員を務める独立総合研究所の青山繁晴代表が解説する。
「冷却材といっても、核分裂のスピードを抑えるホウ酸水の類だから、日本にも
ちゃんとあります。ただ米国は普段から核テロ、核戦争に備えていますから、総合的な作戦ノウハウと、それができる部隊がある。原子炉を迅速、的確に冷却する方法を提供しようということだったのです」
実際、米国側にとって日本政府の”拒否”は意外だったようだ。米軍関係者は、こう言って首をひねるのだ。
「日本政府は『冷却材などで急激に冷やすと、かえって爆発を助長する可能性もあるので慎重にしたい』と言ってきた。
仙台沖で救助支援活動をしている原子力空母『ロナルドーレーガン』に乗船する米海軍幹部も、なぜ初動段階で米軍の支援を断ったのか理解できないと呆れてましたよ」
…週刊朝日今週号より。