もう一つ、政府と東電による。“まやかし”が14日からおもむろに始まった。
もう一つ、政府と東電による。“まやかし”が14日からおもむろに始まった。「計画停電」である。これも、スピンーコントロール(政治的情報操作)だったとしか思えない。
東電の被災後の電気供給能力は、他社からの受電分も含めてピーク時(午後6~7時)で約3400万キロワット。この季節の需要予測の約4千万キロワットを大きく下回るから「計画停電」をする、というのが彼らの説明だった。
震災によって福島第一、第二原発の計約910万キロワット、さらに火力発電所5ヵ所(9基)の計約700万キロワットが失われたという。さらに、柏崎刈羽原発の一部(計約330万キロワット)が定期点検中で稼働しておらず、水力発電所も最大稼働をしていないといわれる
とはいえ、03年4月、東電は前年秋に発覚した原発トラブル隠しの影響で、管内の17基の原子炉をすべて停止したことがある。この17基の合計出力は約1730万キロワットであり、このとき東電は企業に「節電」を呼びかけ、「停電」は起きなかった。今回も「節電」で対処できたはずだ。
思い出してほしい。14日といえば、午前中に3号機が水素爆発し、午後には2号機が。「空だき」状態になって燃料棒全体が露出した。さらに15日には、2号機の圧力抑制室が損傷し、4号機で火災が起きた。
原発の危機が刻々と高まったこの時期に、「停電」という新たな事態が、多少なりとも世間の目をそらす効果をもたらしたのは事実である。
…週刊朝日今週号より。