日本のマスメディアは吉井氏が共産党議員だからとして、この意見を軽んじ、無視したことはなかったのか?
東電の企業風土に危機感を抱き、5年前から「原発震災」を警告していたのは、共産党の古井英勝衆院議員だ。06年3月の衆院予算委員会第7分科会で、吉井氏はこう問い質した。
〈福島第1の1~5号機は、基準水面から4mの深さまで下がると、冷却水を取水することができない事態が起こり得るのではないか〉 地震による津波、とくに「引き波」による取水停止が炉心溶融に発展する危険性を指摘したのだ。
これに対し、資源エルギー庁原子力安全・保安院長(当時)は「国内の約8割の原発が5m低下で取水できなくなる」と認めた上で、原子炉を冷却できる対策が講じられていると強弁した。ところが、警告は現実のものになった。吉井氏は悔しさをにじませる、
「震災後、官邸も東電も津波は“想定外”と口にしたが、5年前に私は津波対策の不備を指摘し警告した。もっと真剣に取り組んでいれば、このように被害が広がらなかったはずです。騎(おご)りが招いた“人災”以外、何ものでもありません」
なぜ吉井氏の警告は届かなかったのか。原発問題に詳しい元日経新聞論説委員で、科学ジャーナリストの塩谷喜雄氏は「原発政策の裏には東電、経産省、東京大学。の産学官のトライアングルがあります」と語る。
「そもそも原子力を推進する経済産業省の中に、原発の管理・運転方法チェックする原子力安全・保安院があること自体おかしなことです。ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものだからです。しかも原子力安全・保安院と東電の幹部を見てみると、東大工学部原子力工学科の出身者が多い。お目付け役の原子力安全委員会のトップも、事業者の言い分に理解のある東大の学者が座っている。本来、推進する側と規制する側で緊張関係にあることが不可欠ですが、これではいかにも難しい」
…サンデー毎日から。
*日本のマスメディアは吉井氏が共産党議員だからとして、この意見を軽んじ、無視したことはなかったのか?