今夜宅配のアエラから…養老孟司×内田樹。
…前略。 黒字は芥川。
内田 でも、今回の破局で一気に評価を下げたのは科学技術そのものではなく、それをコントロールしてきた「日本型秀才」たちじゃないかと思うんです。秀才というのはつねに正解を出そうとする。だから、エビデンス(証拠)が示され、失敗したときの言い訳が準備されない限り、自己責任で重大な決断を下すことができない。フライングして、責任を問われることを病的に恐れる。それよりは上位機関からの指示が出るまで、黙って「フリーズ」している。今度のように、上からの指示を待たずに、現場の責任で決定を下さなければならないというようなときに、秀才たちは必ず決断の時機を逸する。
津波で被災した段階で、現場には「海水を注水して廃炉にするオプションを検討しましょう」と言った技術者はいたと僕は思う。それを抑えて、「経営陣の指示を待て」と言った秀才の足踏みが結果的に事態をここまで大きくした。「責任を問われたら、オレが腹を切る」と言えるだけの胆力のある人間がどのレベルにもいなかったことがこれだけの災害を生み出したと思います。
*内田さん。政治家のレベルでは、現在、間違いなく、ただ一人だけいる…小沢一郎という政治家…あなたが、2年前からの出来ごとに、どんなポジションで居たのか、芥川は知りませんが、芥川の読者の方は、芥川が、民主党代表選挙の時に、明確に、正に、そうだから、彼を支持する、と。ましてや、当時、マスコミがやっていたことは、とんでもないこと。反民主主義に与した、許し難い事だったから尚更。と。…この時に、どんな態度を取っていたかで、貴方の値打ちも決まると、芥川は思う。でなければ全ては後付けの解説になってしまう。
養老 今回も不幸なことに、現場だけでは処理ができなかったわけですよね。現場の論理では、合っていようが問違っていようが、とにかく判断して進めていかなきやいけない。それをいちいち説明している暇なんかない。だから今回、テレビを見ていてもあまり意味がない。問題は現場がどう判断するかでね。もう一つ必要なのは、総合的な合理性です。だって、放射能の被害でこれだけ生活が不自由するなら、原発があってもなくても、同じですよ。動いていないわけだから。じゃあ、何のためにあんなに苦労して建設したのか。
内田 火力発電から、クリーンな原発子不ルギーに移行しようというのは、養老先生がずっと批判されていた温暖化防止キャンペーンの一環ですよね。
養老 温暖化について最初に言い出しだのは、アメリカの原発関係の学者なんです。温暖化を持ち出すと、原発には非常に都合がよかったんですよ。しかし、地球上の物質循環というのは、基本的に安定しているんです。例えば炭酸ガスが増えた場合には、生態系全体としては炭酸ガス濃度が下がるようひとりでに動く。温度が上がったら光合成の速度は速くなるし、当然のことだけど植物が繁茂する。そういラ考え方が根本にあれば、部分合理性が壊れたって、別にいい。そういう意味の「安心感」がない人が、非常に増えたんじゃないでしょうか。…以下略
後は、買ってお読みください。