この答弁からまだ1年もたっていない。…続き、今週号アエラから。

 昨年5月26日の衆議院経済産業委員会ではやはり吉井議員が、「通常使っている外部電源に加えて、原発内部の非常用電源が何かの事故で失われたらどうなるか」という質問をしていた。現在の福島第一原発で直面している問題だ。
 
過去に北陸電力の志賀原発やスウェーデンのフオルスマルク原発で外部電源や非常用電源が地滑りなどで失われたことがある。当然、その対策が問題になるわけだ。しかし、これに対して現在の寺坂信昭・原子力安全・保安院長は、こう答えている。
 
「冷却機能が失われるということになりますと…炉心溶融とかそういったことにつながるというのは、論理的には考え得る、そういうものでございます」

想定できていたのに
 
今回の大津波では、現実に鉄塔が倒され外部電源が失われた。次いで非常用ディーゼル発電機の内部電源も津波で止まり、緊急炉心冷却装置(ECCS)が働かなくなった。「論理的には考え得る」とすれば、なぜその対策を立てなかったのか。 

「多重防護システム」。日本の原発の安全性を宣伝する時によく使われる言葉だ。安全装置が何重にも張り巡らされているから大丈夫、というわけだ。しかし、今回の大地震、大津波はそんなものを簡単に吹き飛ばしてしまった。

民主党政権で加速
 
「想定外」という言い訳はもう通用しない。論理的に想定できたのだから、無策であっていいわけはない。現在の民主党政権は、自民党政権以上に原発建設に積極的だ。鳩山政権はC0。削減の柱のひとつとして高速増殖炉推進を入れ、菅政権は原発の海外への売り込みに躍起になっている。さらに、福島第一原発1号機が40年の老朽化で批判されているのに、60年間の延長運転計画という自民党の政策を無反省に引き継いでいる。
 
この「延長運転計画」を質問された直嶋正行・経済産業相(当時)は昨年4月9日の衆議院経済産業委員会で、その問題については直接答えず、経産官僚の教科書通りにこう述べている。
「多重防護でしっかり事故を防いでいく、いわゆるトラブル等があっても、委員が御指摘のようなメルトダウンというようなことを起こさない、このためのさまざまな仕組みをつくっているということであります」
 
この答弁からまだ1年もたっていない。

黒字化は芥川。

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