<オンナ・コドモ>のジャ-ナリズム…林香里〈著〉 3月27日朝日読書欄から。
黒字化は芥川
インターネットによって当事者の情報発信やつながりの場作りが容易になるにつれ、マスメディアへの信頼感は下がり続けている。筆者は元通信社記者の社会情報学者。
「客観性」や「公平性」という倫理に縛られた結果、マスメディアは現状の社会のあり方の追認、再生産に加担してきたと指摘する。
歴史や世界を見れば、「不偏不党」的立ち位置はジャーナリズムのモデルの一つに過ぎないと論証。
弱者に寄り添い時に一体化する「ケアの倫理」にのっとったジャーナリズムを、マスメディア内外に見いだし再評価し、硬直化した従来型ジャーナリズムとの再接合を試みる。(岩波書店・2415円)