空威張りした「菅総理」の器…週刊新朝4月7日号から。

菅総理は震災後、それまで1日1回行っていた「ぶら下がり会見」を中止している。ところが、先日何を思ったのか、突如、番記者との異例の「完全オフレコ懇談」を開催した。

その中身を覗いてみると……。

「まあ、それは秘書官とよく相談してくださいよ」
3月26日夜、官邸2階の小ホール。冒頭、菅総理は、「ぶら下がりを再開してほしい」と抗議する記者に対し、ムッとして答えた。
 
まずは、この完オフ懇談が行われた経緯を説明しよう。
 
「震災後、総理は『国民の皆様へのメッセージ』と称し、4回会見を行っている。もっとも記者からの質問は、殆ど受けていません。記者は、日々の総理の考えを聞きたい。記者クラブとしても、“ぷら下がりに応じてほしい”と要請してきたものの、多忙を理由に拒否され続けてきました」(政治部デスク)
 
それが26日の夕方、突然、総理との懇談がセットされたのだ。
 
さて、菅総理からどんな発言が飛び出したのか。まず、震災翌日、総理自ら原発の事故現場を視察したことについて。「そのせいで事故対応が遅れたとの指摘が出ているが」と聞かれると、「現地を見ることが重要だと感じた。今でもそれが役に立っている」と、あくまで自分に瑕疵はないと胸を張ったのだ。
 
馬淵前国交相を補佐官に起用したことについては、「(同じ補佐官の)細野の仕事量が増えたから。細野がやりやすい人を選んだ」 と説明。

官邸関係者が補足して言うには、 「原発事故への対応で手いっぱいの細野が泣きついてきたんです。結果、寺田学が補佐官を辞任したが、彼は総理の数少ない、“お友達”の一人。今後も官邸へ出入りするでしょう」

枝野長官は不快感
 
また、「馬淵氏は原発に詳しいのか」と質問されると、菅総理はこう答えた。
「専門家であることと、まとめることは別だ。原子力といっても専門家はたくさんいる。私だっていわゆる専門家ではない」
あれ、菅総理は「原子力に詳しい」との自負があるからこそ、事故現場の視察を強行したはず。少々無責任という気もするが……。
 
さらに、「統合対策本部」が設置され、「東電の対応が変わったか」と聞かれると、「トヨタに車を作るなと言えないように、民間会社にあれこれロを出せない。だが、原発は、法律で政府が責任を持つことが決められている。なのに最初の水素爆発の時、中々官邸に情報が上がって来なかったんだ」 東電に対する怒りは今も消えていないようである。
 
「ぶら下がりをやらないのは、記者の厳しい質問から逃げたいからでしょう。懇談も、記者を懐柔するためのパフォーマンスです」(政治アナリストの伊藤惇夫氏) 

政治部デスクが言う。「枝野官房長官は、懇談をやる暇があるなら、ぶら下がりもできるはずだと非難されるのを恐れ、今回の懇談について、“俺に聞かないでくれ”と不快感を示していました」
 
全て中途半端。懇談で空威張りしたところで、器の小ささが目立つばかり……。