小沢一郎を使わない 新4人組〝無策の独裁″…サンデー毎日から。

未曽有の「国難」にもかかわらず、案の定の体たらくだ。原発クライシスでは後追い対策ばかりで「人災」を拡大させ続ける菅直人政権。中央で人事をいじくるかと思えば、被災現場には一人の閣僚も常駐させない薄情ぶり。

「菅は、平時でも使えないけれど『有事』にはもっと使えないな……」
ベテランの民主党衆院議員が思わず本誌に漏らした言葉だ。3月11日の東日本大震災発生以降、国民の生命と財産を守るべき政府への“国民感情”を代弁しているといえるだろう。
 
一国の首相どころか一人の政治家として失格なのは、福島原発の爆発・放射能漏れ事故に伴う「圏外への避難指示」をめぐる対応ひとつを見ても一目瞭然だ。大事件や大災害・事故に際しては、「とにかく最初は広く大きく構える。次に、事態を把握しながら徐々に態勢を絞り込んでいく」(民主党副幹事長の一人)というのが常識であり、かつ常道。

裏を返せば、ヒト・モノ・カネの「逐次投人」は敗戦必至、戦術・戦略としてはご法度なのだ。
 
ところが菅政権は、大きく構えるどころか原発事故を過小評価し、その後、深刻化する事態に慌てたように「後追い」の処理に終始している。
 
たとえばー。事故の被害に遭った住民に対する圏外への避難指示。当初は3キロ圏だったのが、次に10キロ圏、さらに20キロ圏と拡大させ、3月25日には、20~30キロ圏の屋内退避を「自主避難の要請」に変えてしまった。「自主」を「要請」しては混乱しないはずがない。
 
事態が悪化するにつれ、対象範囲を次々に広げる最悪のケース。もし政府が今後、20~30キロ圏内の住民に「全面的な避難指示」を出すようなことがあれば、「米大使館が在日米国人に指示した80圏圏外でもいい。なぜ最初から全面避難を促さなかったのか」(政務二役経験者)
 との批判を浴びることは間違いない。

事実、一部の民主党議員有志は「原発から80キロ圏内の住民は全面的に、“疎開”させる」と官言、根回しに乗り出している。
 
だが、首相の認識は絶望的だ。3月25日の記者会見で「後追い」を指摘されると、驚くべきことに、「専門家から分析・判断をいただき、最終的に政府として退避指示を出している。専門家の判断を尊重した対応で、これからもそうした姿勢で臨みたい」と、
内閣府原子力安全委員会(班目春樹委員長)に責任を転嫁してしまった。

首相の唐突な大連立申し入れの際、責任を押しつけられそうになった自民党の谷垣禎一総裁が「震災担当相」を拒否したのも当然だ。

“修羅場”にあたって責任を回避し、自ら決断できないなら、議員バッジを返上したほうがいい。
 
加えて、前出の副幹事長は「中央防災会議や安全保障会議、全国知事会議など当然開くべき会議を開いていない」と指摘する。
 
「とにかく初動か遅い。東京電力なんか潰れてもいい。政府の管理下に置き、米、仏、ロシア、IAEA(国際原子力機関)などと一緒に国際協力対策本部を作るべきだった」(同)
 
首相を支えるはずの民主党の対応も支離滅裂だ。
 
これまでも「朝から会議、会議で議論ばかり。何も実行していないのに、仕事をしたような気分になっている」(同党ベテラン秘書)と指摘されてきたが、今回、その体質がいかんなく発揮されているようだ。

…続く。

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