親方を〝座敷牢″から出せ…サンデー毎日4月10日号から。
旧通産(経済産業)省出身の衆院議員が憤る。「大震災の対応を話し合う総会があったので出席したら、執行部は『各議員で物資を集めてほしい』という。被災地のニーズにマッチした物資がほしいという説明だが、具体的に『これが必要だ』という指示がない。集めてはみたもののミスマッチの物資はどうするのか。議員会館に積んでおけとでも言うつもりか!」
人事をめぐる”どさくさがも目を覆わんばかり。
菅首相は、藤井裕久官房副長官に代わって仙谷由人前官房長官を副長官に起用したが、3月26日には寺田学首相補佐官を外し、前国土交通相の馬淵澄夫・党広報委員長を新たに原発担当の補佐官に就任させた。仙谷、馬淵両氏といえば、今年1月に参院で問責決議案が可決され、内閣改造に伴う事実上の更迭に追い込まれたのは記憶に新しい。
「まさに、〝火事場泥棒″。党内に人材がいないと宣言してしまったようなもの」(同党関係者)
それだけではない.菅政権の中枢は、いまや「新4人組」とでも呼ぶべきひと握りのメンバーがすべての決定権を握ってしまい、それ以外の提言を聞こうともしないというのだ。
旧建設(国土交通)省キャリア出身の衆院議員は、緊急を要する原発冷却について、福島第1原発近くにある農業用ダムに消防ホースを差し込み、「サイフォンの原理を採用してはどうか」と首相あてにメールしたが「音沙汰なし」だという。
この議員は、「今や、菅首相や枝野幸男宣房長官、細野豪志首相補佐官、それに海江田万里経済産業相の4人がすべてを仕切っている。この国の将来設計を担うはずの玄葉光一郎・国家戦略担当相ですら、『私は関与できません』と嘆いているよ」と明かし、こう言う。
「確かに首相官邸など政府の一部は大忙しだ。しかし野党はもちろん、政府入りしていない多くの民主党議員や、『政治主導』の下に官邸からの指示を待つ霞が関の官僚は、実は暇をもてあましているのが実情だ」
まさに、「新4人組」による無策の独裁ー。
そうした中、やはりと言うべきか、一人の大物政治家の登場を期待する声が与野党問わず、にわかに高まっている。大地震とそれに伴う空前の大津波の被害に見舞われた岩手県選出の小沢一郎元代表その人だ。
小沢氏の選挙区は、故郷の旧水沢市などが合併して発足した奥州市を含む岩手4区だが、がっての中選挙区時代は壊滅的な打撃を受けた陸前高田市や大船渡市なども地盤だった。両市をきむ岩手3区は、小沢氏を支持する中堅・若手でつくる「一新会」所属の黄川田徹衆院議員の地元だ。
…続く。