TPP亡国論 中野剛志〈著〉…朝日新聞読書欄から。評者:森 健

(文中敬称略)

グローバル経済 冷静に論考
 
昨秋のアジア太平洋経済協力会議(APEC)直前、突如参加検討が発表された環太平洋経済連携協定(TPP)。関税撤廃など自由貿易を強力に推進する協定で、経済団体は賛成、農業団体は反対を表明した。それをもって製造業と農業の二項対立で同協定を見る向きが多い。だが、同協定はもっと根が深く、日本経済にとってはかなり
危うい内容のようだ。本書を読むとそれが明確にわかる。

*管直人が、どんなに危険な人物であるかは、これで明瞭に分かるはず。…昨秋のアジア太平洋経済協力会議(APEC)直前、突如参加検討が発表された環太平洋経済連携協定(TPP)…発表したのが菅直人だって事は誰でも知っているはずだ。…その時受けそうな事柄に、突然飛びつく…この場当たりな思考を為す人物が、日本の国益にとってどんなに危険であることか!
 
著者はまずTPPは国内総生産(GDP)比率で事実上、日米2力国の自由貿易協定(FTA)に過ぎないことを示した上で、米国はなりふり構わぬ輸出強化策に出ていることを証明する。要は米国が自国経済を好転させる(日本の財を奪う)ための施策の一つがTPPなのだ。
 
また、TPP推進の根拠に米国とのFTAを締結した韓国の躍進が挙げられるが、それは実際にはウォン安による為替差益だったとめっきを剥がす。関税よりも通貨管理のほうが影響は大きいのだ。
 
冷静な論考の過程で見えてくるのは、国民を幸せにしないグローバル経済の問題だ。その最中で自国の経済をどう守り、成長させるのか、本書は再考を促す。現在震災の影響で政府はTPPの作業部会を中断し、先行きは見えないが、TPPだけに終わっていないのが本書の深みだ。(集英社新書・798円)

黒字化は芥川、と書くところだが、全文を黒字化しなければならない。

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