安藤忠雄が新大学生に直言…今週号の週刊朝日から。
人間としての感性を磨き、自立心・責任感を持て!
終わりの見えない不況や政治不信、大震災に原発事故まで、かつてない危機に混迷を深める日本。こんな時代に大学生となる若者たちは、何を学び、何を指針に生きればいいのか。世界を舞台に活躍し続ける建築家、安藤忠雄氏からの温かくも痛烈なメッセージをお送りする。
1997年、安藤忠雄氏は東京大学教授に就任し、5年余りの間、教鞭をとった。
安藤氏自身は、経済的な事情などから大学教育は受けていない。
独学で建築を勉強して世界的な評価を受ける建築家になった、きわめてまれな人物であり、アカデミズムとは対極にあるといってもいい存在だ。
そんな安藤氏が東大で教えるということに、周囲は強く反対した。
だが、未知の世界への興味もあり、「教えにいくのではない。学生とともに勉強しよう」という思いで、“赤門”をくぐったという。
安藤氏の目に、東大はどのように映ったのだろうか。教育とはいったい何か。
やれ東大だ、京大だと、そんなことばかりに注目するのはもうやめましょう。
そもそも、若者とは何か。夢や目標を持って突き進む、心に「青春」を持つ人でしょう。
60代だろうが70代だろうが、青春を生きている人はいる。むしろ、「生涯青春」であるべきなんです。その基礎をつくるのが、学生時代なんです。
ところが、いまはその大事な時期に、一流大学に入るためにせっせと試験勉強するばかりで、人として大切な、自由な発想力や想像力を養えていない。
そのせいで若者たちは、進む道や生き方を自分の頭で考えて、判断し、責任感を持って行動するということができなくなってしまった。
…以下略。