まだ日本が未曾有の大震災に襲われる前の三月十一日早朝、週刊文春4月14日号から。
〈首相に違法献金の疑い百四万円 在日韓国人から首相側は未回答〉
まだ日本が未曾有の大震災に襲われる前の三月十一日早朝、朝日新聞が一面トップで菅直人首相の違法献金問題を報じた。
一週間ほど前には、前原誠司外相(当時)が同じく在日韓国人からの違法献金問題で辞任を表明したばかり。
さしもの菅首相も、これは進退に関わる問題だと頭を抱えたに違いない。
この在日韓国人男性・K氏の関係者が明かす。
「菅首相はK氏の携帯電話に連絡し『落ち着いたら何でもしますから、とにかく逃げて下さい』と口早に要請したそうです」
朝九時からの参院決算委員会では、民主党議員の質問にこう答弁している。
「
日本名で日本国籍の方だと思っていた。報道のように外国籍の方とは全く承知していなかった」
自民党からは退陣勧告も飛び出したが、首相は辞任を否定。前原氏と違い、“外国人だと知らなかったから辞任の必要はない”との理屈で押し通したのだ。
朝日新聞の記事を受けて、メディアは横浜市内のK氏宅に集まったが、すでにもぬけの殻だった。
そしてー。
東日本大震災が発生。国会も震度五の大揺れで大混乱となった。引き続き決算委員会に出席していた菅首相は、強張った表情のまま天井を見上げていた。
時間の経過とともに甚大な被害状況が明らかになる。電源喪失の福島第一原発は、危機的状況に陥っていた。
首相は翌十二日早朝、福島原発の視察を敢行。安全だと判断したが、その直後、一号機が水素爆発を起こしたのは周知の通りだ。
だが、K氏を知る民団関係者は次のように証言する。
在日韓国人の間では有名人
「震災の翌日、菅氏はK氏に電話し、『過去も現在も未来も会ったことはなかったことにしてほしい』と念を押したそうです」
被災者が生死の境をさまよう最中、またもやK氏に口止めの電話をかけていたというのだー。
改めて、朝日新聞が報じた菅首相の違法献金問題について振り返ろう。
首相の資金管理団体「草志会」は、韓国籍の中央商銀信用組合(旧横浜商銀信用祖合)元理事・K氏から○六年に百万円、○九年に四万円の献金を受けていた。これは外国人からの寄付を禁じる政治資金規正法に抵触する。
同法に詳しい日本大学法学部の岩井奉信教授はこう語る。
「前原氏が辞任している事実を考えると、菅首相も責任を問われざるを得ない。数万円の話ではなく、百万円と額も非常に大きい。きちんとチェックするのが普通で、『知らなかった』では済まされません。まして、韓国系金融機関の元理事からの献金となれば、前原氏とは同列に扱えない」
焼肉屋のおばちゃんからもらう毎年五万円の献金とはワケが違うのだ
東北大震災が起きた翌日、菅首相はヘリの窓越しに、被災地の惨状を厳しい表情で見つめていた。だが最も憂慮していたのは、自らの
違法献金問題たったようだ。よりによってこの日、献金した在日韓国人に口止めを念押し。これは被災者への裏切りではないか。
…続く。