「あいつが(韓国籍だと)知らないわけないだろ」…週刊文春4月14日号から。
十一日の決算委員会でこう答弁している。
「私が仲人をした知人から、数年前に中学、高校の同期生で不動産関係の仕事をしている人として紹介された。釣りに誘われて、その知人と三人で出かけたこともあり、数回会食をしたこともあります」
この“知人”とは、首相の地元事務所に出入りしている男性のこと。前出の関係者によれば、正確にはこういう話だ。
「国会で釣りの話をしていましたが、K氏の船で行ったんです。もう売ってしまったようですが、当時、K氏は山下埠頭に二隻の船を停泊させていました。釣った魚は、横浜の高級ステーキ店『瀬里奈』でさばいてもらったそうです」
問題となった献金の授受も、この知人同席のもと、都内の高級しゃぶしゃぶ店で行われたという。
「その場で、K氏が菅さんに百万円を渡したそうですが、菅さんは最初『いやいや、まずいです』と受け取らなかった。
ところが、二人を繋いだその知人が『別にいいから』と言って結局は受け取ったようです。
K氏は『パチンコ店の地上げに絡んで、NTT労組を動かしてくれた見返りだ』などと漏らしていた。
政治資金パーティーの招待状も持っていたし、パーティー券も買っているはず」(同前)
元来が口の軽いK氏はあちらこちらで、菅首相と電話一本の仲であることを自慢していた。
俺が大統領との会談を実現した
「酒の席でも、『これが首相の電話番号だよ、仲良いんだ』とよく言っていました。
そんな簡単に電話番号を公開されていいのか、見せびらかすK氏もK氏だけど、菅さんも脇が甘すぎると思いました」(同前)
父親が韓国の政界に繋がりを持っていたこともあって、大統領府「青瓦台」にも太いルートがあるらしい。
「○八年二月、菅代表代行(当時)は中井洽氏らと訪韓して、李明博新大統領の就任式に参加。李大統領と会談もしている。
K氏日く、『青瓦台は、〝野党の一議員に……”と難色を示したが、俺が掛け合って、会談を実現させたんだ。(青瓦台の)警護室長と親しいんだ』と。実際、K氏も同じタイミングで訪韓しています」(官邸関係者)
真偽はともかく、K氏にしてみれば、菅首相のために尽力してきたのだろう。そして互いにその存在を利用してきたはずだ。
ところが、違法献金だと報じられるや否や、一方的に「逃げてくれ」と頼まれ、「何でもします」と言われたのに、その後は放置されたまま。挙句、今度はこれまでの関係の清算に動いたことになる。決算委員会の答弁では「釣りに行って、食事もした」と認めている
のに、翌日には「会っていないことにしてくれ」と頼みごとをしたというのだ。
「地震発生直後はミョーに自信を座らせていた。ところが、首相が指示しても東電は悠長な態度を取るばかり。
十一日夜頃から首相は怒声を飛ばすようになった。K氏にも興奮状態のまま、電話したのでしょう。
キャパシティーを超えて正常な判断ができなくなっていたのです」(官邸担当記者)
鈍カンすぎる菅首相も二度目の電話以降は不謹慎だと察したのだろう、その後は元政策秘書のI氏がK氏とやり取りしていたようだ。すでに、百四万円の献金はK氏に返金したという。
だが、あまりに独善的な首相に対し、憤憑やる方ないK氏は、周囲にこう愚痴をこぼしている。
「あいつのために逃げてやっているのに、何も言って来ない。本当に情けないヤツだ。Iの野郎も電話に出ない。俺は家にも帰れない。なんで俺だけ迷惑かけられないといけないんだ」
K氏に取材を申し込もうと、会社や自宅に足を運んだが、「(取材は)お断りしています」。
K氏の携帯電話を鳴らし、取材依頼のメールも送ってみたものの、最後まで返事はなかった。
一方、菅首相は事務所を通じて、口止め電話やK氏との関係について、こう回答した。
「K氏に電話をかけた事実はなく、『とにかく逃げてくれ』『過去も現在も未来も会っていないことにしてくれ』と頼んだことはありません。献金をどのような状況で受け取ったかについて、菅には明確な記憶がありません。しかし、菅が『まずいよ』と述べるような状況でなかったことは、収支報告書に適正に記載していることから明白です」
だが、K氏本人が最近もこう嘯(うそぶ)いている。
「あいつが(韓国籍だと)知らないわけないだろ」
都合の悪い事実には口止めをして、知らないフリをし続けるーその卑怯な姿は、首相が「バカ野郎」とこき下ろす東電と何ら変わりがないではないか。