「外国人の私だから言える。日産の競争力の源は日本だ」とゴーンは言った。
福島県いわき市のエンジン工場が被災し、操業が停止した日産自動車。「日産の将来のために日本の事業を守り、発展させる」。3月29日に現地入りした社長のカルロスーゴーン(57)の答えは明快だ。
損傷は大きかった。天井から電柱ほどの太さの配管が落下し、コンクリートの床も波打った。水道などライフラインの復旧も遅れる。再開できなければ高級車の生産ができず、収益源の米国向け輸出も止まる。緊急避難策として日産は一部のエンジンを米工場から輸入する。だが、いわき工場の生産縮小・撤退はまったく視野に入れない。
世界の工場を品質やコストで競わせる「工場間コンペ」を導入する日産は昨年、主力車「マーチ」の国内生産を打ち切った。
対する高級車向けエンジンは熟練技能者や部品・素材産業が集積する日本で造り続ける。
ひいき目ではない。「外国人の私だから言える。日産の競争力の源は日本だ」とゴーン。
すべての経営課題を一時棚上げしてでも、ものづくり再生を急ぐ。
同じく今朝の日経一面から。 黒字化は全て芥川。