「女性の時代が来るべきなのである」 荻原博子さんに続いて岡田桂子さん(シャープ執行役員)
今日の朝日新聞、beから。
まるで米アップルのカリスマ経営者、スティーブージョブスのような登場のしかただっだ。昨年9月、シャープの電子書籍端末の発表会。舞台にひとり立ち、新商品の魅力を記者団に話しかけた。
舞台のディスプレーには 「GALAPAGOS(ガラパゴス)」が大きく映った。
その5ヵ月前、オンリーワン商品・デザイン本部長に就いた。シャープ初の女性本部長で、この4月には初の執行役員。重点商品や事業を立案し、推進する部門トップに女性が立つのは、大手電機メーカーでは極めて珍しい。商品名を同本部のメンバーらと決めた名付け親でもある。
自然科学者ダーウィンが訪れた南米の群島、ガラパゴス。は「ガラパゴス化」などと日本の課題を語るとき話題にされがちだ。「ケータイ」のように特異な形で進化してしまい、グローバルな世界で普及しなかった、というふうに。
しかしダーウィンは文明から隔絶された島々での観察がきっかけで、生物は環境に適しかしダーウィンは文明から隔絶された島々での観察がきっかけで、生物は環境に適応し進化するという「進化論」へたどり着いた。
そのことを、日本の製造業の発展過程に重ねあわせる。きめ細かな技術を駆使し、独自に組み合わせて新たなモデルを確立、世界に先駆け進化を遂げてきたからだ。
「ガラパゴスは日本のものづくりそのもの。自信を持って、進化させましょう。日本を元気づけましょう」
経営陣は、初め驚いたが、「いいね」と即決だった。
指示待ちでなく、自ら「決める」ことを肝に銘じる。
大学で工業デザインを学び、入社した。デザイン部門から商品企画部門に移った時、オフィスのど真ん中で上司に「給料泥棒。辞めてしまえ」と怒鳴られた。「部長から指示されました」と書類を手渡した時だった。
上の言う通りに仕事をするな。自分で決めろ。シャープペンシルなど他にない商品を真っ先につくってきた社風に刺激され、「オンリーワン」を追求してきた。
消費者への膨大な調査、聞き取りから企画を練り上げ、調理機器でヒット商品を作ってきた。「人の話を聞くのが好き」。
様々なやりとりの中から新しい価値の芽を見つける能力に秀でているのだろう。「水で焼く」を強調したオーブン「ヘルシオ」も代表作だ。
配属部門の多くが経営陣と近い部署で、若い頃から会社全体の経営課題が見えたのも、強みの一つ。商品企画は開発、販売、生産などとの共同作業であり、人脈は多く太くなる。携帯情報端末「ザウルス」の開発にかかわり、情報分野の人脈もある。社内の縦横に大胆に働きかける行動力が持ち味となった。
ものづくりがたこつぽに陥っては、日本に未来はない。縦横無尽に連携し、新しい価値を生み出せるのか。
ガラパゴスが参入した分野は米アップルが日本に先行している。
進化し、勝てますか?
「携帯、家電、テレビ、液晶とアップルにない広がりをわが社は持っている。すべてを連携することで新しい使い方を提案できると思います」
文・安井孝之 黒字化は芥川。
…後略。