菅政権『震災対策』は子供のサッカー…竹中平蔵。 今週号、週刊文春から。

読者の方は、芥川が、竹中平蔵氏に決して全面的な賛同はしていないことは、お分かりのことだと思う。必要以上に所得格差を広げたと感じているからですが、
今回の、彼の論説には、同意する所が多かった。 以下ご紹介します。 黒字化は芥川。

復旧と復興とその後の改革は、順番に行なうのではなく、シームレスに一体的にやらなければなりません。…中略。

原発ばかりにかかりきりになってきた政府の対応は、子どものサッカーのようです。確かに重要な問題ですが、みんなが一つのボールの周りに群れているだけで、全体を俯瞰して見る者も、指示を出す者もいない。
 
ところが政府は、大臣をさらに三人増やすと言い出した。不足しているのは大臣ではありません。菅総理のリーダーシップです。

いまの政府は、まさに無政府状態。震災から1ヵ月たつのに、国家戦略室の会議が一回も開かれていないことが象徴的です。

…中略。 

関東大震災のとき、「帝都復興院」の創設が決まったのは震災翌日。実際に設置されたのは、二十六日後のことでした。
それに比べて、今回の政府の対応は遅い。一日も早く、強い権限を持たせた「経済安定復興本部」を立ち上げるべきです。
 
復興院の総裁として指揮を執った後藤新平は、のちに復興の過程を報告書にまとめています。
「何が成功して何が失敗したかを発信するのが、世界から助けてもらった恩返しである」という趣旨でした。

復興にかかる金額を、どのくらいに想定するか。失われた資産が十兆円といわれた阪神大震災では、三・三兆円の補正予算を計上しました。
今回、内閣府の試算によると被害は最大二十五兆円ですから、十兆円規模が必要になるでしょう。

ところが政府は、少なくとも第一次補正予算の段階では、国債を発行せず、予備費のほか、年金に対する国庫負担からまかなうという。
これはつまり、社会保障の財政状況を苦しく見せて、消費税を上げる伏線です。

それより先に、子ども手当の廃止など省くべき無駄があるはず
 
今夏に電力が二割不足することで、これから東京の生産能力は落ちます。マイナスの影響は、やがて日本経済全体へ及んでいきます。
にもかかわらず内閣府は、「復興によって経済成長が高まる」という予測を出しました。復興特需のほうが大きいという試算なのですから、呆れるしかない。「だから増税しても大丈夫」という伏線でしょうか。あまりに乱暴です。
 
十兆円の赤字国債を追加発行するのは大変だと政府は言いますが、いま我が国は赤字国債を一年で四十四兆円出しています。さらに今後十年間で、三百兆円くらいの国債を出さなければいけないのです。そう考えると「赤字国債をこれ以上増やすわけにいかないから、増税だ」という主張は議論のすり替えです。財政健全化の議論と、震災からの復興は別。経済が立ち直れば税収が増え、財政健全化への道は開けるはずです。 

したがって、復興税などは問題外。復興のための資金は、国民から出してもらえばいい。寄附の控除を拡大して、余裕のある人から出してもらう。
また、景気は確実に落ち込みますから、国債も発行して、国民からお金を借りればいい。
 

国の財政も大変ですが、より大変なのは、民間の住宅や産業を復興することです
民間のお金が回るようにするには、法人税の引き下げが大切。

ところが経団連は早々と、一震災の復興財源を確保するために、法人税の引き下げは取りやめてもいい」と言い出した。
明らかに経済原則に反しています。「こういう状況だからもっと減税してくれないと、復興はできません」というのが正しい論理。

「合成の誤謬」と言って、一見よかれと思ってやることが結果的に悪くなる、ということが経済にはあるのです

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