当時、ウイルスの起源が武漢の研究所であるとの説に言及することは、まだ勇気のいることであった。 日本では完全に”陰謀論”扱いであったためである。

以下は現在発売中の月刊誌WiLLに、「研究所漏洩説=陰謀論」は完全崩壊、と題して掲載されている掛谷英紀の論文からである。
掛谷英紀は東大卒業者の中にもかなりいる自虐史観の塊で左翼小児病患者である人間達とは正反対の人間である。
つまり東大で学んだ人間に相応しい頭脳を持った人間の一人である。
毎月26日に発売される月刊誌WiLLとHanadaは日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
文明のターンテーブルが回っている国である日本で、各界・各層の本物の思索者達が、日夜、本物の論文を書いている。
この両誌と毎月1日発売の正論には、それらの論文が満載されている。
だが、こうして「文明のターンテーブル」が登場するまでは世界は全く知らなかった。
日本語は素晴らしい言語だが世界共通語ではないだけではなく、極めてユニークな言語だからである。
私の孤軍奮闘に対して世界中の人達からのご支援をお願いする。
その為に公式ホームページを制作しました。
https://turntable-civilization.com/
見出し以外の文中強調は私。
ウイルス流出説を「陰謀論」扱いする者は大手メディアが垂れ流す情報をそのまま信じているだけ
破られたタブー 
この1ヵ月、新型コロナウイルスの起源をめぐり、武漢ウイルス研究所からの漏洩である可能性が高いことが各種メディアで報じられるようになった。
筆者は本誌6月号で、新型コロナウイルスの遺伝子に人工的改変の可能性があることについて述べた。
当時、ウイルスの起源が武漢の研究所であるとの説に言及することは、まだ勇気のいることであった。
日本では完全に”陰謀論”扱いであったためである。
英語圏では、すでに大手メディアでも徐々に議論され始めていたが、それでも3月にCNNのインタビューで研究所流出説に対する支持を公表したCDC(米疾病予防管理センター)前局長のロバート・レッドフイールドは、その後に殺人予告などの脅迫を受けたと明かしている。
驚くべきは、脅迫したのが政治家ではなく仲間の研究者たちだったということだ。
ところが、この2ヵ月の間に世界の空気は大きく変わった。
そのきっかけを与えたのが、5月5日付で原子力科学者会報に掲載された二コラス・ウェイドの記事である。
彼は、長年ニューヨーク・タイムズで科学記者を務めた大物である。
そのウェイドが、研究所流出説を強く示唆する記事を書いたのである。
記事中には、ノーベル賞受賞者のデイビッド・ボルティモアが人工説を支持していることも記されていた。
これにより、新型コロナウイルスが研究所を起源とするとの説を語ることがタブーではなくなった。 
5月14日には学術誌サイエンスに、新型コロナウイルスの起源について武漢研究所流出説を排除しない公正な調査を求める、18人の研究者を共著とするレターが掲載された
さらに5月23日には、ウォール・ストリート・ジャーナルが、2019年11月に武漢研究所の研究者三人が新型コロナウイルス感染に似た症状で入院していたと報道した(この情報自体は、今年1月に米国務省がすでに発表していたもので、それをWHO総会のタイミングに合わせて報じたものと思われる)。 
これらを受け、バイデン大統領は5月26日に新型コロナウイルスの発生源の解明に向けた追加調査を行い、その結果を90日以内に報告するよう情報機関に指示したのである。
癒着を物語るメール 
6月になると、新型コロナウイルス研究所起源説をさらに補強する情報が飛び込んできた。
米国立アレルギー感染症研究所所長で、米国の新型コロナウイルス対策を指揮するアンソニー・ファウチの電子メールを、メディアが情報公開法に基づいて入手して公開したのである。
その中には、研究者たちの間の癒着を雄弁に物語る数々のやりとりが含まれていた。 
新型コロナウイルスは自然界の動物を起源としているという説が、科学者を含む世界の人々に受け入れられるようになった背景には、有名学術誌に登場した2つの文献がある。
1つは、昨年2月にランセット誌に掲載された27人の研究者によるレターである。
その内容は、「新型コロナウイルスが自然発生でないことを示唆する陰謀論を断固として批判する」「陰謀論の拡散は恐怖心や流言、偏見をあおるだけで、疫病に立ち向かうための国際連携を危うくする」と主張するものであった。 
このレター掲載実現のために中心的な役割を果たしたのが、著者の1人でもあるピーター・ダシャックである。
彼は非営利組織エコヘルス・アライアンスのトップであるが、同組織はNIH(アメリカ国立衛生研究所)から、機能獲得研究(ウイルスの遺伝子を組み替えて、感染力や毒性を強める研究)について大量の研究費を受け取り、それを中国の武漢ウイルス研究所に流していたことが明らかになっている。
またダシャックは、今年はじめに武漢に派遣されたWHO調査団に米国から参加した唯一のメンバーである。
当然ながら、これらの行動については、利益相反の問題が各所から何度も指摘されている。 
新型コロナウイルス天然説が信じられることに大きく寄与したもう一つの文献が、昨年3月に学術誌ネイチャー・メディスンに掲載されたクリスチャン・アンダーセンらによる論文(コレスポンダンス)である。
日本の医師で天然説を信じている人たちも、この論文を根拠にする者が多かった。
ファウチ「すぐ電話する」 
私が新型コロナウイルス天然説に疑いを持ち始めたのは昨年5月だが、当時この論文を読んで、その内容の貧弱さに愕然としたのを覚えている。
天然由来を語りながらも、その論拠として挙げられていることが、科学的にとても十分とはいえないものだったのである。
なぜ、このような「屑論文」が有名雑誌に掲載されるか不思議でならなかった。 
公開されたファウチのメールを見て、その謎がようやく解けた。
この論文が掲載される約1ヵ月半前の1月31日、アンダーセンがファウチに送った電子メールが、公開された資料の中に含まれていた。
そこで、アンダーセンは「人工的に見える遺伝子配列の特徴を見出すには全ての配列を非常に注意深く見なければならない」「今日終えた議論で、エディー、ボブ、マイク言一名のうちの2名はネイチャー・メディスンの論文の共著者とみられる)と私は皆、この遺伝子配列は自然進化説とは整合性がとれないとの見解で一致した」と書いているのである。
これに対し、ファウチは「すぐ電話する」と返信している。 
2月4日には、ネイチャー・メディスンの論文の草稿と思われるものが、著者の一人であるエドワード・ホームズからジェレミー・ファラーを経由してファウチ宛に転送されている。
エドワード・ホームズのメールには、「頭がおかしいと思われないように、他の異常な点については言及しないようにした」との記述がある。 
1月31日の時点で新型コロナウイルスに人工的改変が含まれると思っていた彼らが、ほんの数日のうちになぜ意見を変えて天然説を主張する論文を書いたのか。
ファウチとアンダーセンの間の電話でどのようなやり取りがあったのか。
ここはあくまで私の推測だが、次のような会話が行われたものと想像される。
ファウチ(以下、F)クリスチャン、俺だ。
アンダーセン(以下、A)ファウチ先生、どういうご用件でしょう?
F 人工という結論では困る。
A どうしてですか?
F 俺が機能獲得研究を推進してきたのは知っているだろう。その研究の試料が漏れた結果、疫病で多数の死者が出たと分かったらどうなる?
A そう言われましても。私にはどうすることもできませんが。
F このウイルスが自然界由来だと主張する論文を書け。
A そんな論文を書いても、科学的に説得力がないので掲載されないでしょう。
F ネイチャー・メディスンに投稿しろ。編集者にお前の論文を通すよう、裏で手配しておく。
A そんなことをして大丈夫でしょうか。気が進みません。
F 断ったらどうなるか分かっているだろうな。従わなければ、今後お前には研究費は一切配らん。この世界では生きていけなくなると思え。
A 分かりました。言われた通りにします。
アカウント閉鎖の謎 
私が抱いたような疑念は当然、他の多くの人々も持ったようである。
アンダーセンはツイッターのヘビー・ユーザーであることが知られていた。
多くの者が、なぜ意見を変えたのかと、一斉にツイッターでアンダーセンを問い詰め始めた。 
それに対するアンダーセンの返答は、RaTG13の遺伝子配列を見たからだというものだった。
RaTGBは、コウモリを宿主とするウイルスで、新型コロナウイルスに遺伝子配列が最も近いことで知られる。
このウイルスは2月3日に刊行された武漢ウイルス研究所の石正麗の研究グループの論文で初めて公表された。
だが、最近は論文が正式に発表になる前にデータが公表されることが多い。
RaTGBの遺伝子配列も1月23日には公表されていた。
その後、アンダーセンが1月24日時点でRaTGBに関するツィートをしていたことが発掘された。
これで追い詰められたアンダーセンは、過去のツィートを次々に消し始めた。
そして、ついにはアカウント自体が閉鎖されてしまった(彼自身の意思によるものか、外部の意思によるものかは不明である)。
一方、ダシヤックとファウチの間ではどのようなやりとりが行われたか。
ダシヤツクからファウチに送られた昨年4月18日のメールも注目に値する。
その日ホワイトハウスで行われた記者会見において、ファウチは新型コロナウイルスの起源を武漢の研究所とする説は陰謀論であると述べた。
その直後、ダシヤックはファウチに感謝のメールを送っているのである。
ここにも深刻な癒着が見られる。
もはや″陰謀論”では済まない 
この世の中には、陰謀論もあれば本当の陰謀もある。
それを区別するには、一次資料を詳細に分析しなければならない。 
私は米大統領選の陰謀論には極めて批判的な立場だったが、その立場をとるまでに一次資料の確認を行っている。
米国の選挙は、過去の選挙の投票結果がカウンティ(郡)単位でウェブ上に公開されている。
そういうものを見れば、巷で噂されていた陰謀論の信憑性を確かめることができた。
もちろん、投票用紙にGPSやブロックチェーンが埋め込まれているといった科学的にあり得ない荒唐無稽な論も多くあり、それらは確認の必要すらなかった。 
新型コロナウイルス研究所流出説についても、それが陰謀論かどうかを確かめるには一次資料にあたる必要があった。
この案件で一次資料に相当するのは、新型コロナウイルスやそれに類似するウイルスの遺伝子配列、コロナウイルスに関連する過去の研究論文、およびここで紹介したファウチのメールである。 
前述の2019年11月に武漢研究所の職員が入院したという米国務省の情報については、その真偽の判断は難しい。
それをもって、これはイラクに大量破壊兵器があるとの偽情報を米国が発信したときと同じだという人がいる。
しかし、それは明らかに間違いだ。
イラクのケースは、米国の発表以外にそれを裏付ける情報が全くなかった。
新型コロナについては、右に述べたように大量の一次資料がある。
ファウチのメールを読めば、科学者の問で何らかの口裏合わせがあったことは明らかである。
いまだに新型コロナウイルス研究所流出説を陰謀論扱いしている人は、そうした一次資料を読むことなく、大手メディアが垂れ流す情報をそのまま信じているだけなのだろう。 
そもそも、大手メディアを追っているだけでも、英語圈のメディアをウォッチしてさえいれば、新型コロナウイルスの研究所流出説はもはや陰謀論扱いできないことは明らかである。
真実を追うのは誰か 
6月2日、ニューズウィークは、大手メディアが否定していた新型コロナウイルス研究所流出説の信憑性がいかに回復されたかを解説したローワン・ジェイコブソンの記事を掲載した(6月4日には和訳が日本語版ウェブ・サイトに掲載されている)。
6月3日、ヴァニティ・フェアも、同じテーマでキャサリン・イーバンによるさらに詳しい記事を掲載した。
こちらは40人以上に取材し、米国政府の資料を数百ページ読み込んで書かれた大作である。 
ヴァニティ・フェアの記事では、新型コロナウイルスの研究所流出説を追った人物として、政府関係者のほかに、DRASTICとパリ・グループという二つの在野集団を紹介している。
この記事で、パリ・グループは「30人以上の懐疑的な専門家からなる集団で、月に1度Zoomで集まって、新たな証拠について何時間も議論を行っている」と説明されている。
他のメンバーも名乗り始めているので告白するが、私もこのパリーグループの1員である。
本誌6月号で紹介したWHOの武漢調査団に対する公開質問状の署名者も、このパリーグループのメンバーが中心となっている。 
パリ・グループの一員で、WHOのアドバイザーも務める米国人のジェイミー・メッツルは、新型コロナウイルスの起源が研究所であることを初期から疑っていた人物の一人である。
彼は民主党支持者であるが、最近はリベラル系のメディア、FOXのような保守系メディア両方に出演している。
彼はウイルス研究所流出説を語ったことで、仲間の民主党支持者から非難されたという。
その彼がFOXのタッカー・カールソン・トゥナイトで語った次の言葉が印象的である。
「私はトランプの発言の95%に賛同できないが、新型コロナウイルスの起源については彼の言うことが理にかなっていると思った。どの政党の支持者であっても、それを誰が言っているのかを忘れ、データと証拠に集中して、ウイルスの起源という困難な問いに立ち向かう必要があると感じた」 
米国のリベラルは極左化が進み、党派性のために真実を犠牲にする人ばかりと思っていたが、そうではない人物がまだいたことに感動を覚えた。
私も米大統領選で間違った事実を指摘したときは、日本の保守派から激しい攻撃を受けた。
だが、メッツルのように、どんなに攻撃を受けようとも、それに屈せず常に真実を追う人間であり続けたい。

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