習近平政権は間違いなく21世紀のナチスと化しており、習近平は21世紀のヒトラーとなって、人類に対する罪、人道的犯罪に手を染めているのである。
以下は先般、産経新聞の書評欄で紹介された石平さんの下記の本からである。
石平さんについては本欄でも度々日本国民のみならず世界中の人たちに紹介してきた。
書評で言及されていた通り、本著は石平さんが決死の覚悟で書いた。
読者の人達は、先年、毛沢東の主治医を務めていた人物が米国に亡命して書いた本、「毛沢東の私生活、上下」を出版した後に、浴室で変死体として発見された事件を記憶しているはずである。
中国の代理人であると言っても全く過言ではない朝日新聞の論説主幹だった若宮啓文が韓国を経由して中国を訪問していた時にホテルの浴室で変死体で発見された事件も記憶しているはずである。
p241
恐怖政治による個人独裁の確立、諸民族へのジェノサイド
自らの政権を成立させた1期目の5年間、習近平は恐怖政治を行って党内の反対勢力を一掃し、権力基盤を強固なものにした。
同時に彼は、胡錦濤政権時代に定着した「集団的指導体制」を打ち壊し、自らを中心とする個人独裁の権力構造を作り上げた。
わずか5年間で、習近平は権力の大きさにおいて、先代の胡錦濤や先先代の江沢民をはるかに超える、中共政権の唯一無二の独裁者となった。
彼はどうやってそれを成し遂げたのか。
その秘訣は、「腐敗撲滅」を最大の武器に使った恐怖政治の展開にあった。
本書第六章で記したように、中共政権内の腐敗文化と淫乱文化は江沢民政権時代に全面開花した。
次の胡錦濤政権時代においても、この二つの共産党文化はわが世の春を謳歌して栄え続けた。
特に腐敗についていえば、胡錦濤政権時代の後期、共産党幹部で腐敗に手を出していない人間はほとんどいなくなったほど、汚職や収賄などが政権内の「普遍的な文化」として隆盛を極めた。
「腐敗の普遍化」ともいうべき党内のこの現象は、習近平にとり、粛清によって自らの権力基盤を固める好機となった。
共産党総書記に就任して早々、習近平は唯一の政治的盟友である王岐山という共産党大幹部を、腐敗摘発専門機関の中央規律検査委員会の書記に就任させた。
以降の5年間、習近平・王岐山コンビは二人三脚で、中共政権内における凄まじい「腐敗撲滅運動」を展開した。
2012年秋から2017年秋までの5年間で、累計25万人以上の共産党幹部が、摘発を受けて失脚したり刑務所入りとなった。
もちろん、習近平と王岐山が進めた腐敗摘発は、本気で腐敗を撲滅しようとしたものではない。
それはあくまでも、習近平が党内の政敵を潰す権力闘争の武器であり、共産党幹部全員に脅しをかけて習近平への絶対服従を強いる手段に過ぎなかった。
習近平たちの腐敗摘発は、最初から「選別的な摘発」であった。
習近平や王岐山の身内の腐敗や、子分たちの腐敗は一切不問にして、摘発の矛先をもっぱら政治上の対立勢力に向けた。
この手段によって習近平は、江沢民派の勢力をバックに自分に盾付く元共産党政治局常務委員・警察ボスの周永康(しゅうえいこう)や解放軍元制服組トップの郭伯雄(かくはくゆう)などを摘発・粛清し、それを機に警察と軍を掌握した
腐敗摘発で政敵を粛清する一方、習近平・王岐山コンビはまた、この手法で恐怖政治を行い、党幹部を怯えさせてねじ伏せた。
前述のように、共産党幹部はほぼ全員、腐敗に手を出しているから、摘発の手が及んでくれば、誰もが破滅の運命から逃れられない。
そこで習近平と王岐山は「選別的な腐敗摘発」によって幹部たちに明確なメッセージを送った。
「習総書記に不服な輩は漏れなく摘発して破滅させる。しかし習総書記に絶対服従していれば目を瞑ってやる」というメッセージである。
腐敗にたっぷり浸かっている共産党幹部の大多数はいっせいに習近平に平伏し、絶対服従を誓うこととなった。
その結果、習近平の個人独裁体制はわずか5年間で強固なものとなった。
権力基盤を固めた上で、習近平はさらに2017年の党大会で、自らの名前を冠する「習近平思想」を中国共産党の規約に盛り込み、マルクス主義や毛沢東思想と並ぶ中共政権の指導的思想理念として掲げた。
これによって習近平は、政治上の独裁者として君臨するだけでなく、思想上・精神上の支配においても共産党の「教祖様」になった。
鄧小平以来、中国の憲法には国家主席の任期の制限が設けられ、「国家主席は2期10年以上務めてはならない」というルールがあった。
江沢民も胡錦濤もこのルールに従い、10年務めた後に国家主席のポストから退いた。
しかし習近平政権2期目の2018年3月、習側近の主導で憲法改正が強行され、国家主席任期のルールは憲法から削除された。
これで習近平には、以前の毛沢東と同様、死ぬまで最高権力の座にしがみつく終身独裁者への道が開かれた。
習近平による政治上の「毛沢東回帰」はそれだけではない。
彼の政権では、独立思考の知識人や人権弁護士らに対する弾圧がますます激しくなり、イデオロギー統制が厳しくなった。
近年ではついに、「自由主義」「個人主義」的傾向のある書籍を全国の学校から追放し、幼稚園生にまで洗脳的な「愛党教育」を強いることが決まった。
国民への政治支配を強化するため、毛沢東時代の密告制度が復活し、さらに毛沢東時代にはなかったIT技術やAI技術を駆使した国民監視システムが完成した。
経済領域ではアリババなどの民間企業へのいじめとも言える介入がますます酷くなり、国有企業増強による計画経済への回帰が明確な流れとなった。
いま、習近平政権下の中国は、毛沢東時代の狂気の文化大革命へ逆戻りしている最中である。
さらに、習近平政権によるチベット人、ウイグル人などの民族を標的にした赤裸々な民族浄化政策は、世紀の蛮行といってよい。
特に新疆地域に住むウイグル人に対して、青年からお年寄りまで100万人単位の男女を強制収容所に閉じ込め、洗脳教育と拷問・虐殺の限りを尽くしているほか、収容したウイグル人女性たちへの野蛮な性的暴行も日常茶飯事となっている。
多くのウイグル人女性に不妊手術を強制し、悪辣極まりない手口でウイグル人の民族浄化、ジェノサイドを組織的に行っている。
同時に共産党政権は、南モンゴルのモンゴル人を含む多くの民族から言葉(母語)を奪って中国語の学習を強制し、いわば文化的ジェノサイドを行っている。
毛沢東時代の民族弾圧・虐殺のレベルすら軽く超えて、今の習近平政権は、ユダヤ人に対するナチスドイツの民族絶滅と同等の民族ジェノサイドを実施している。
習近平政権は間違いなく21世紀のナチスと化しており、習近平は21世紀のヒトラーとなって、人類に対する罪、人道的犯罪に手を染めているのである。
この稿続く。
「中国共産党 暗黒の百年史」著者石平 飛鳥新社、2021年7月4日第一刷発行より。