鳴かぬヒヨドリと、静かな対話の時間
嵐山の“マイ・ブーム”の場所で、日々口笛による交流を重ねてきた一羽のヒヨドリ。しかしその日、鳥は鳴かず、代わりに筆者の目の前に現れ、長い時間じっと見つめ続けた。京都の自然と人との、不思議で深い静かな対話を描いた一篇。
その彼(彼女)が。
昨日は。
全く。
鳴かなかった。
私を。
怪訝に。
思ったのか。
休憩所で。
休んでいた。
私の。
目の前に。
現れた。
2016-01-25。
今。
私が。
嵐山で。
必ず。
訪れている。
場所が。
在る。
一昔前の。
流行り言葉で。
言えば。
マイ・ブームと。
言えば。
ぴったりか。
その。
場所に。
在る。
一本の。
木に。
いつも。
居る。
ヒヨドリ…。
私は。
彼(彼女)と。
口笛で。
話している。
私の。
口笛の。
調子が。
良い。
日は。
私の。
時ならぬ。
「ホーホケキョ」に。
彼は。
びっくりするのだが。
直ぐに。
負けじと。
鳴き声を。
私に。
似せてくる。
だが。
私が。
絶好調。
すぎて。
終に。
彼は。
声が。
小さく。
なってゆくのである。
お殿様。
おみそれしました。
負けました。
と。
その。
彼(彼女)が。
昨日は。
全く。
鳴かなかった。
私を。
怪訝に。
思ったのか。
休憩所で。
休んでいた。
私の。
目の前に。
現れた。
ご存知の。
ように。
ヒヨドリは。
京都中に。
一番。
多く。
いる。
野鳥だが。
実は。
なかなか。
写真を。
じっくりは。
撮らせて。
くれない。
大体。
カメラに。
気づくと。
すぐに。
去ってしまう。
ところが。
昨日は。
様子が。
違ったのである。
実に。
長い。
間。
私を。
見つめていたのである。
