中共版「冊封体制」の正体 ― 李克強発言と翁長知事“媚中発言”の危険な地続き
中国史における冊封体制の本質を西嶋定生教授の分析に基づき解説し、現代の中共がマルクス・レーニン主義を用いて「中華」秩序を再構築しようとしている実態、AIIB・鉄・セメント・技術供与・知財軽視に至る現代版冊封の構造と、李克強発言から翁長知事の媚中発言へと連なる危険な構図を告発する論考。
2017-02-24
以下は月刊誌『正論』今月号に掲載された安倍南牛さんの「翁長知事が中国首相にした驚きの媚中発言」と題した本当の労作からである。
日本国民の大半と世界中のすべての人が、初めて知る事実である。
前文略。
その冊封体制とは、中国史学者の西嶋定生・東大名誉教授の分析に沿って述べると、キーワードは「中華」(特別地域)、「夷荻」(野蛮の地)であり、伝統的には皇帝は天子として夷荻に臨む存在であった。
そして今の中共は、マルクス・レーニン主義教典を使って、漢族の共産党の支配地域を「中華」とし、共産主義世界の拡大を図ろうとしている。
天子が近隣の蛮族の王(首長)と君臣関係を結ぶことが「冊封体制」であった。
天子の直接支配圏が宗主国となり、天子は周辺蛮族から朝貢を受けた。
蛮族支配地域の産物が天子へ献上され、絹布や陶磁器・漆工品などが下賜されている。
むろん、冊封を受ければ蛮族扱いを免れ、「中華」からの軍事的圧力も免れた。
李克強首相の冊封体制とは、中共政権に額ずく周辺諸国へ「鉄」「セメント」を下賜するから、代わりに不足している原料、北朝鮮の場合には無煙炭などを、韓国の場合には知的財産権を主張せずに「技術」を寄越せ、ということであろう。
AIIBの説明に次いで、李克強首相は、日中の戦略的互恵関係の種は民間にありと述べて、「昨年、中国は海外からの観光者が1億人を突破した」と強調した。
それを受けて、協会訪中団の河野洋平団長は、「中国の観光客をもっと受け入れたいと沖縄は考えている。同県の知事が参加しており、一言発言をお願いする」と、翁長雄志沖縄県知事の発言を促した。
この稿続く。