日本と韓国がただちに戦争になるわけではないが、外交上は、力を持つ国が優位に立てる。一万、日本は敵基地攻撃能力に関する議論すらない
以下は8月5日、産経新聞に、浮上する韓国ミサイルの脅威、と題して掲載された阿比留瑠比の論文からである。
阿比留瑠偉は現役最高の記者の一人である。
菅義偉政権が発足して来月で1年になるが、安倍晋三前首相が日本の抑止力向上のために打ち出した敵基地攻撃能力の保有に関する議論が、一向に進まない。
コロナ禍で政府に余裕がないのは分からないでもないが、公明党の頑迷な抵抗もあり、衆院選を目の前にして選挙協力を最優先する目民党側も声を上げない。
だが、本当に悠長に構えていていいのか。
先日、外交・安全保障に関わる政府高官と話した際、5月のバイデン米大統領と韓国の文在寅大統領による米韓首脳会談について、マスコミはその重大性を報じていないとの指摘を受けた。
「仮想敵国は日本」
高官が問題視したのは、韓国のミサイル能力を制限する指針が撤廃されたことである。これまでは韓国がミサイルを導入する際には射程800㌔㍍までという制限が設けられていたが、これが無制限となった。
韓国メディアは「米国にとって中国を牽制する効果が得られる」と報じたが、高官はこう語った。
「ミサイル指針撤廃については、米国から日本に事前に連絡がなかった。これで韓国は、日本全域を網羅する長射程のミサイルも持てる。だから日本と韓国がただちに戦争になるわけではないが、外交上は、力を持つ国が優位に立てる。一万、日本は敵基地攻撃能力に関する議論すらない」
実際、来年3月の韓国大統領選の有力候補、革新系与党「共に民主党」の李在明・京畿道知事は指針撤廃に対して、「韓国のミサイル技術の最後の鎖が解かれた」と歓迎している。
李氏は、日本を「軍事的贊威」「敵性国家」と呼ぶ人物である。
くだんの高官は、日本の政治家もマスコミも、あまりに危機感がないと訴えていた。
そしてこの日本こそが敵だとみなす姿勢は、李氏だけのものではない。
文氏がかつて秘書室長として仕えた盧武鉉元大統領は、ラムズフェルド米国防長官(当時)との初会談で、「仮想敵国は日本だ」と言い放って同調を求め、米側をあきれさせた。
その後も盧政権は米国に同様の働きかけを続けたのである。
対米関係も不安定化
盧氏はまた、平成18年7月には竹島(島根県隠岐の島町)近海で、韓国海洋警祭庁の警備艇に、海上保安庁巡視船の撃沈も辞さない「危害射撃」を許可したこともある。
一触即発の危機だったのである。
*私が、TBSの実態も知らず、筑紫哲也のNES23を、眠る前に観ていた時、彼は、こんな男が大統領に就任した時、まるで英雄を迎えるように、老若男女を車座の周囲に配して報道したのである。私が今、この世で最も愚劣にして卑劣な悪辣を視聴させられた無念と怒りを感じている事は言うまでもない*
韓国は日本と同じ米国の同盟国だからといって、安心できる国ではない。
そもそも、米韓同盟自体が非常に不安定になっている。
昨年12月3日の当欄でも紹介したように、東アジアの安全保障問題を専門とするローレス元米国防副次官はこう予言している。
「米韓同盟は2030年までには終焉を迎えるここになるだろう」「南北の朝鮮人は、米国が韓国との安全保障の枠組みから手を引けば、結束してこれまで以上に日本に対するあからさまな強硬姿勢を示すことになる」
有事に備えるというと、一般的には中国や北朝鮮が思い浮かぶだろうが、韓国だっていつどんなことを仕掛けてくるか分からない。
東京五輪でも、韓国選手団・マスコミによる東日本大震災からの復興を無にしようとするような反日的言動は目に余る。
砂に頭を突っ込み、身に迫る危機を見ないようにして安心する「ダチョウの平和」でやり過ごせる時代はとうに終わっている。
そのことを意識すべきだろう。
特に与党には、国民の生命、財産、自由に責任を持つ地に足の着いた政治を望みたい。
(論説委員兼政治部編集委員)