作家の覚悟と批評家の勇気 ― 山本一力と西部邁が語るテレビ、権力、そして政治責任
月刊誌『正論』3月号に掲載された山本一力×西部邁の対談冒頭から、テレビ討論という装置の本質と、防衛政策をめぐる発言に示された「立場」と「責任」の違いを鮮明に描く。
以下は月刊誌正論3月号の作家山本一力×評論家西部邁と題した対談特集記事の冒頭からである。
2017-02-15 09:06:34
以下は月刊誌正論3月号の作家山本一力×評論家西部邁と題した対談特集記事の冒頭からである。
山本。
以前、西部さんは「朝まで生テレビ」(テレビ朝日系)に出演されていましたが、あれは、どれぐらいやられましたか。
西部。
十年ぐらいですか。
僕は酒を飲んで出ていたました。
大島渚と野坂昭如は、ずるいことに番組の終盤に、飲み始めて本気で怒っていたけど(笑)、僕は飲んでもからまないタイプなんです。
でも、あるとき、姜尚中に質問されて、「なんでお前に答えなきゃいけねえんだ」と言っちゃった。
新宿で飲んでいると勘違いしちゃったんですね。
山本。
(笑)。
西部。
それで年かなと思って、やめようと思ったんです(笑)。
テレビと言えば、昨年、僕は山本さんがテレビに出演されているのを見て、胆力がある方だなと思って、それを聞いた編集部が、今日は対談をセットしたんですね。
最近、本もあまり読まず、新聞も目を通していないのですが、そうすると人間悲しいもので、ついテレビのスイッチに手が伸びるんです。
番組の詳しい内容は忘れましたが、稲田(朋美防衛)大臣が以前、核武装を検討すべきだと発言していながら、防衛相になって「非核三原則は守る」という趣旨のことを述べたことを問題として取り上げていたんですね。
民進党現代表の蓮舫参議院議員が、変節だと噛み付いたことをね。
前後をしっかり見ていたわけではないですが、番組は多分、大臣として朝令暮改はいかがなものかという雰囲気だったんでしょう。
そのとき、コメンテーターの山本一力なる人物が「防衛大臣が正しい。
立場が違えば言うことが違うのは当たり前だ」と一刀両断にしたんです。
後略。