中国独裁の実像――大富豪失踪と獄中死が暴く習近平政権の「踏み絵」政治と国際社会の沈黙

中国共産党による独裁体制の実態は、北朝鮮だけに限られた問題ではない。中国の大富豪失踪事件や獄中不審死の連続は、習近平政権が忠誠を強要する「踏み絵」を用いた恐怖政治を行っている現実を明確に示している。その一方で、中国は国連常任理事国として拒否権を持ち、日本に対しては反日プロパガンダを展開し、国際社会はそれを黙認してきた。この危険な構造を直視せずに来た国際社会の責任こそ、今こそ問われなければならない。

2017-02-17

独裁国家の恐ろしさは北朝鮮ばかりではない事を告げる事実が、2月15日、日経アジア電子版で届いていた。
文中強調と*は私である。
中国の旧正月前の大みそか、香港島のランドマークである高級ホテル「フォーシーズンズ」のアパートメントから、著名な中国出身の大富豪が消えた。
中国の「強力部門」、すなわち法も無視して動ける国家権力機関の面々に強要される形で、大陸に連れさられたとみられる。
名は肖建華。
まだ45歳の若さである。
中国の不透明な体制下では、驚くべき事件の全容が解明される日は来ないかもしれない。
失踪事件は、なお広がりを見せる。
2月11日、中国の経済誌「財新」インターネット版が、政府系経済紙「証券日報」の社長が党規違反で調査を受け、党籍を剥奪されたと報じた。
証券日報の実質的な大株主は、肖建華の企業「明天集団」である。
マスコミのトップ摘発となると穏やかではない。
謎の多い大富豪、肖建華の「明天集団」は、過去に中国経済界で良からぬ噂となった複数の企業との関わりが指摘されている。
山東省を地盤とするコングロマリットである魯能集団、中国初の民営銀行である中国民生銀行などである。
中国経済誌「財経」は、かつて元国家副主席・曽慶紅の子息が魯能を私物化したとの疑惑を報じ、大論争を巻き起こした。
石油閥の重鎮だった曽慶紅は、元国家主席・江沢民の側近として「上海閥」を仕切った人物である。
肖建華は「政商」として、様々な指導者の親族を巡る秘密を握ったとみられる。
習近平の親族の動きも含まれるもようである。
言わば「知り過ぎた男」なのだ。
習政権側は、過去にも危険を察知すると事前に処置してきた。
肖建華事件を考えるうえで参考になる案件がある。
2015年12月、上海で起きた事件である。
上海を基盤とする巨大投資会社・復星集団の董事長、郭広昌が消息を絶った。
彼は上海の空港で当局に連行された。
郭広昌は中国富豪ランキング上位の常連である。
著名な米投資家ウォーレン・バフェットになぞらえ、「中国のバフェット」と呼ばれていた。
復星集団が出資する上海豫園旅游商城は、星野リゾートトマムの株式100%を取得している。
有名リゾート運営企業「クラブ・メッド」も傘下にある。
肖建華の失踪で、習政権側が発した政治的メッセージはただ一つである。
「こちらにつかないと大変だぞ。わかっているな」という一種の脅しである。
日和見は許さない。
これは習近平の反腐敗運動の標語である。
すなわち、旗幟を鮮明にしろと迫っている。
「踏み絵」と言ってもよい。
中国では、著名な企業経営者であっても身の処し方を誤れば死が待ち受けている。
実例がある。
中国東北部、遼寧省の大連実徳集団は、中国有数のプロサッカーチームを持つ大企業だった。
その経営者・徐明は、政争の闇に消え去った。
徐明は、無期懲役となった元重慶市党委員会書記・薄熙来が大連市トップだった頃からの裏の「金庫番」だった。
「知り過ぎた男」は薄熙来への連座で刑を受け、収監された。
そして2015年12月、刑期終了を目前にして、獄中で謎の死を遂げた。
44歳の若さだった。
*この様な国が、国連の常任理事国として拒否権を持つだけではない。
米国と並び、世界最高の知性と自由を有する国である日本に対し、反日プロパガンダを繰り広げている。
日本を政治的な囚人の立場に置こうと暗躍しているのである。
そんな態様を許し続けて来た国際社会とは、一体なんだったのか。

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