若い世代が知らないTRONの真実――日本が世界標準を失った決定的瞬間

パソコンとインターネットの黎明期、日本はTRONという世界最先端のOSを持っていた。
坂村健の大発明は、日本の教育現場に導入される直前で、外圧と妨害によって潰された。
その裏で動いたのが、ビル・ゲイツと孫正義である。


特に若い人たちは全く知らなかった事実だろうが、
私は、それらの事を同時代として生きていたから、よく知っているのである。
2016-01-05

私の論説を初めて目にする読者、
特に若い人たちは、
これから書く事実を、ほとんど知らなかったに違いない。

マイクロソフト社のWindowsが、
世界を制覇する以前の話である。
そもそも、パソコンやインターネットという世界は、
誕生してから、せいぜい四十年程度しか経っていない。

私の同級生で、東北大学を卒業した親友の一人は、
「PCなんぞには触らない」と、
最近まで平然とうそぶいていた。
また、先日、本当に久しぶりに会った、
閖上中学の同級生で、東北学院大学を卒業した親友は、
仙台弁で、
「パソコンは見ねぇ、使わねぇ」
と言っていたほどである。

その創世記の時代に、
慶應義塾大学に、坂村健という天才が現れた。
彼が提唱したTRON革命の先進性と完成度に、
世界最高の知性と技術を持つ国であった日本国政府は、
当然のように気付いた。

日本政府は、
全国の小学校、中学校に、
坂村健が発明したTRONを心臓部とするパソコンを配置し、
教育に用いることを決定したのである。

この動きを見て、
実態は守銭奴、
あるいは独占欲の塊と言っても過言ではない、
ビル・ゲイツは、
Windowsによる世界制覇に対する、
最大の脅威を察知した。

彼は日本政府に対して、
さまざまな妨害活動を仕掛けた。

その先兵となったのが、
当時、PCソフト会社の経営者であっただけでなく、
ほとんどインチキと言ってもよい方法で、
米国の大学入学試験を突破し、
米国で学生生活を送り、
シリコンバレーに出入りしていた、
孫正義である。

彼は持ち前の執拗さで、
文部省の官僚たちを責め立てた。
その理由が、実に噴飯ものであった。

「PCを動かすのに、
ソフトは二つも要らない。
無駄になる。」

確か彼は、
ビデオのベータとHDの規格争いなど、
本質とは何の関係もない話を持ち出して、
攻撃したはずである。

言うまでもなく、
それらは坂村健の発明とは、
何の関係もない理屈である。

しかも坂村健は、
本物の学者であったから、
この世界的な大発明を、
無償で、日本国と日本人に提供したのである。

この稿、続く。

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