龍安寺|至上の美を、ついに捉えた日— 私史上、最高到達点の記録 —

龍安寺という場所は、
何かを「写そう」とした瞬間に、すべてを拒む。

石庭も、光も、沈黙も、
こちらの意図を一切受け付けない。

この場所で残せるものがあるとすれば、
それは風景ではなく、
その瞬間に確かに存在した「時間」だけである。

今回の写真集は、
私が龍安寺で長年追い続けてきたものが、
偶然ではなく、必然として揃ってしまった記録だ。

光の角度、空気の密度、
人の気配と消え際、
そして、何も起こらなかった時間。

どれか一つでも欠けていれば、
この形にはならなかった。

これは技巧の成果ではない。
演出の結果でもない。

ただ、
その場に立ち、
沈黙を壊さずにシャッターを切り続けた、
その積み重ねが、
この一冊になった。

私自身の撮影史において、
これは一つの到達点である。

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