自己保存の法則に道を譲った憲法理想の正体
阿比留瑠比記者のコラムを通じて、GHQ主導で制定された憲法の「理想」が国際情勢の変化の前に自己保存の法則へと後退した事実を検証する。
憲法改正論議を拒む岡田克也氏の主張が周回遅れである理由を、マッカーサーやニクソンの発言をもとに明らかにする。
2016-02-03
以下は一月十八日の産経新聞に掲載された阿比留瑠比記者のコラム極言御免からである。
民主党の岡田克也代表は安倍政権下で憲法改正を議論すれば憲法の破壊になると主張し議論そのものを拒んでいる。
現行憲法は国民が七十年間育んできたものだと言うがその認識は周回遅れである。
GHQのマッカーサー最高司令官は一九五一年の年頭メッセージで日本国憲法の戦争放棄を強調した。
同時に国際社会の無法状態が続くならこの理想は自己保存の法則に道を譲らねばならないと述べた。
これは憲法の理想が現実の前に後退することを明言した発言である。
実際に朝鮮戦争を契機として警察予備隊が発足し自衛隊へとつながった。
マッカーサーノートで示された非武装の理想は米国自身によって踏みにじられた。
さらにニクソン元副大統領も日本の非武装化は誤りだったと公式に認めている。
憲法の精神は米国の都合で揺さぶられ続けてきたのである。
国民が憲法を育てたというより憲法は戦後ずっと米国製のままだった。
安倍首相が語る改正によって初めて国民が自らの手で憲法をつくるという言葉の方がはるかに現実的である。