外国人記者の誤読を招いた日本人学者と、譲位問題における第三の責任

月刊誌『HANADA』今月号に掲載された平川祐弘氏の論考を手がかりに、天皇陛下の「譲位」問題をめぐる国際的誤解の構造を検証する。
フランス紙ル・モンドによる歪曲報道、その解釈を示唆した日本の傾向的学者、そして異例のお言葉が政治的主張として受け取られたことの三重の問題を厳しく問う。

2017-03-06
三年前の八月まで、私が平川祐弘氏を知らなかったことは既述のとおりである。
月刊誌HANADA今月号に、天皇陛下「譲位」問題の核心、誰が論点をすり替えたか、と題した三段組み十ページにわたる論文を掲載している。
その中に、まるでニューヨーク・タイムズ紙のフランス版のようなル・モンド紙の記事が引用されていた。
私は、フランスよ、お前もか、と思った次第である。
ル・モンド紙にも、空海と信長の生まれ変わりとして大音声で喝を入れなければならないとは、似非モラリズムと似非共産主義が癌のようにメディアを蝕んでいることの証明だろう。
前文省略。
文中強調と*~*は私である。
項目③の退位後の御活動について、
天皇様が上皇になられて自由に外国旅行をなさるとか、外国人記者や外交官や友人たちが様々に聞きに行くとかして、問題発言が生じる可能性はいくらでもある。
いや、すでに先日のビデオが問題発言のように解釈されている。
フランスのル・モンドは国際的には信用度の高い新聞だが、今回の退位問題について、実に歪んだ報道をしている。
「遺言」とも言うべき発言のなかで、天皇は国民の「圧倒的な信頼」を背にしつつ、いくつかのメッセージを発信したとされる。
まず、天皇を「国家の象徴および国民統合の象徴」とする憲法への愛着を再び表明した。
また、「平和への深い愛着」と「戦争中に日本が近隣諸国に与えた苦しみに対する痛惜〔regrets〕の念」を繰り返し表明していると書かれた。
メッセージのもう一つの力は、その政治的諸含意であるとする。
鞏固なナショナリストである安倍首相は、天皇の願いに困惑するほかないとされる。
天皇が享受している国民の支持に服して従わざるを得ないとも書かれた。
皇室典範改正の議論は憲法改正を後回しにする可能性もあるという。
首相は、日本の政治勢力のもっとも反動的な部分から支持を得て、憲法九条の改正を意図しているとも書かれた。
*ル・モンドよ、お前は一体どんな低能で、こんな小学生以下のことを書いているのだ。共産党の一党独裁国家である中国が、今、どんなことをしているのかすら知らないのか。しかし、そんな頭脳で、よくも世界のル・モンドですなどと大きな顔をしてきたものだ。これまでフランスが生んできた本物の知識人たちが全員、日本と日本国民に対する、これ以上ない無礼を恥じて、草葉の陰で小さくなっているぞ*
いかなる政治的権限も有さないにもかかわらず、巧妙にも明仁天皇は、強権的帝国主義的日本を懐かしむ者たちの大がかりな目論見を妨害し、いや阻止することもできることを示したのであると書かれた。
このように、すぐ書かれてしまったのである。
私はそれを読んで、このような解釈をするフランス人記者が第一の問題であり、外国人記者がそのような解釈をするよう示唆した日本の傾向的な学者が第二の問題であり、そしてこのような政治的主張をしたと受け取られかねない陛下の異例のお言葉が第三の問題であると考えた。
このような国際的誤解が生じた結果を考えるとき、陛下のお側にお諌め申し上げる者がいなかったことを、私は淋しく、残念に思ったのである。

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