世界は、日本を代表してきた新聞と文化人を恥じることになる
月刊誌『正論』今月号に掲載された三橋貴明氏の経済論文を手がかりに、朝日新聞といわゆる朝日新聞文化人が日本を代表する言論として世界に誤認されてきた構造を検証する。
成長否定論がもたらす国家的危機と、言論が国防に及ぼす深刻な影響を明確に指摘する。
2017-03-07
月刊誌正論今月号には、本物の論文が満載されている。
その中に、経済評論家・三橋貴明の論文がある。
正論の購読者でもあり、私の読者でもある具眼の士たちは、この論文もまた、私の論説の正しさを百パーセント証明していることに気づいたはずである。
彼は、この全く正しい論文の中で、朝日新聞の記事と、いわゆる朝日新聞文化人の代表選手の一人である上野千鶴子が中日新聞に書いた記事を、至極当然に批判している。
彼女の頭脳の実態が、朝日新聞を購読して育ち、論説委員たちの思想で生きているだけであることは、以前に書いたとおりである。
世界は、このような新聞と、いわゆる文化人たちを、三年前の八月までは日本を代表していると思ってきたことを、いずれ恥じることになるだろう。
「いまだに市場経済が理解できない?」
朝日新聞の「ゼロ成長」。
経済評論家・三橋貴明。
今年一月四日、朝日新聞は「経済成長は永遠なのか『この二百年、むしろ例外』」という記事を配信し、日本の将来の経済成長について否定的な論調を示した。
記事を書いた原真人記者は、この二十五年間の名目成長率がほぼゼロであることを理由に、政府の財政出動の結果が世界一の借金大国であるなどと、例によって虚偽のレトリックを用いて成長を否定した。
さらに、東京大学名誉教授の上野千鶴子は、二月十一日の中日新聞「平等に貧しくなろう」において、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきだと語った。
一億人維持やGDP六百兆円といった目標を妄想と切り捨て、現実に向き合えと述べたのである。
筆者は、日本の言論の自由をこよなく愛する一人である。
とはいえ、原真人や上野千鶴子といった成長否定論者の言動を読むたびに、国防上の理由から言論の自由を制限してもよいのではないかという思いに駆られる。
彼らの主張に影響され、「日本は経済成長しない」「日本は経済成長する必要がない」という考えが蔓延すれば、日本は冗談抜きで亡国に至ると、私は確信している。
そもそも、成長否定論者たちの最大の勘違いは、日本が成長していないことが宿命でも必然でもないという点を理解していないことである。
日本が経済成長していない理由は、単純にデフレだからである。
物価下落以上のペースで所得が縮小する国が、経済成長できるはずがない。
経済成長とは、生産、支出、所得であるGDPが拡大することに他ならない。
物価以上に所得が減少するデフレ国家が成長することは、端から不可能なのである。
日本が経済成長を実現するためには、デフレからの脱却が不可欠である。
しかし、成長否定論が支持を集めれば、デフレ脱却に不可欠な政府による需要創出は不可能となる。
その結果、彼らの思惑通り、日本の経済成長率は低迷し続ける。
原真人の「日本は借金大国」というデマについては、すでに繰り返し誤りを指摘してきたため、本稿ではこれ以上触れない。
この稿、続く。