成長を否定する者たちが日本の国防を破壊する――GDP・財政・安全保障の決定的真実
過去の経済成長の恩恵を享受しながら将来の成長を否定する論者たちは、倫理的にも国家的にも重大な罪を犯している。
GDPは税収と国防の基盤であり、成長なき国家は防衛を維持できない。
デフレと成長否定論が日本を弱体化させ、中国の増長を許した構造を明らかにする。
2017-03-08
以下は前章の続きである。
それ以前に、原真人や上野千鶴子といった成長否定論者は、三つの点で「言論の自由」を制限されても構わないと思うほどに罪深いのである。
一点目。
原にせよ、上野にせよ、過去の日本経済の成長、すなわち所得の拡大の恩恵を受け、日本国で豊かに、快適に暮らしてきたのである。
自分は過去の日本の経済成長の恵みを受けているにも関わらず、将来の成長を否定する。
自分は、過去の成長のおかげで安楽に暮らし、将来の日本国民は貧困化する国家で暮らせと言っているわけだ。
倫理的に許される話ではない。
「平等に貧しくなろう」と主張するのであれば、上野にはまずは自分の全財産を国庫に寄付するなどして、自ら「貧しくなる」ことで範を示してほしい。
断言するが、上野に代表される「日本は貧しくなってもいい」論者たちは、自分は懸命に日本円をかき集め、溜め込む。
自らは日本円を貯蓄することに血眼になりながら、他者には「貧しくてもいい」と言ってのける、恥知らずたちなのである。
二点目。
原や上野は、GDPこそが税収の源泉であることを理解していない。
GDPは、その国の所得の合計だ。
そして、我々は所得から税金を支払う。
必然、GDPと政府の租税収入は強い相関関係にある。
GDPが大きい国は、税収が増えるために、財政規模も大きくなる。
当然ながら、財政規模が拡大すれば、軍事支出にも多額のお金を費やすことが可能になる。
成長なしでは国防が破綻する。
橋本政権の緊縮財政で日本経済がデフレ化する前、我が国のGDPは一国で世界の17%超を占めていた。
*橋本龍太郎が中国が仕掛けたハニートラップに引っかかった事と、日本のデフレの深化、経済の大停滞と、文明のターンテーブルの進展が止まり、中国の増長が始まった事は単なる偶然だろうか*
その後、日本のGDPシェアはひたすら落ちていき、2015年には5.6%にまで凋落してしまう。
反対側で、中国は日本からの直接投資の恩恵も受け、経済成長を続けた。
すでにして、中国のGDPは日本の2倍以上に膨らんでいるのだ。
このまま日本経済が成長せず、中国経済が拡大を続けた場合、最終的にはどうなるだろうか。
中国のGDPが日本の10倍、軍事支出が20倍という時代が、20年ほどで訪れることになる。
日本の20倍の軍事費を使う共産党独裁国家に、日本はどのように立ち向かえばいいのだろうか。
立ち向かえない、というのが残酷な答えだ。
日本国を将来の日本国民に「日本国」として残すためにも、我が国は経済成長「しなければならない」のである。
そして、経済成長のためにはデフレ脱却が不可欠である。
ところが原や上野に代表される成長否定論者は、ありもしない「財政破綻論」や成長否定論を振りまき、日本のデフレ脱却のための財政出動を妨げる。
三つ目。
成長否定論者の多くが勘違いしているのだが、現在の日本は経済成長の絶好の機会を迎えているのである。
経済成長とは、GDPが拡大することだ。
それでは、GDPが拡大するためには、どうしたらいいのか。
人口が増えなければならないのか。
笑わせる。
いまだかつて、人口の増加によって経済成長を達成した国など存在しない。
経済成長に必要なのは、生産者一人当たりの生産量の拡大である。
生産者一人当たりのGDPの拡大、すなわち生産性の向上こそが、経済成長の唯一の源泉なのだ。
現在の日本は人口が減少している。
だが、人口の増減と経済成長は本質的に無関係である。
成長する国は成長し、成長しない国は成長しない。
この稿続く。