メディア不信を招く二重基準— 安全保障より政争を優先する新聞の倒錯 —

北朝鮮の弾道ミサイル発射という国民の生命に直結する危機を軽視し、森友学園問題や公人・私人論争を優先した朝日新聞と毎日新聞の姿勢を、産経新聞・阿比留瑠比記者が鋭く批判する。保育園や学校での反政府政治活動を黙認し、朝鮮学校を擁護する一方で私立学校を糾弾するメディアの二重基準が、読者の深刻なメディア不信を招いている現実を明らかにする論考。

2017-03-09

以下は、従軍慰安婦報道が捏造であることを長年にわたって検証し、ついに朝日新聞社に公式に謝罪させた立役者の一人であり、今の日本で数少ない本物のジャーナリストである阿比留瑠比記者の産経新聞連載コラムからである。
日本国から最大級の賞賛が与えられなければならないほど、彼は重要な仕事を果たした。
題字以外の文中強調は私である。

ただでさえ「マスゴミ」と言われて久しいメディアは、いよいよ読者から底意を見透かされ、軽侮の対象となっていくのだろうと悲しくなった。
最近の新聞各紙やテレビニュースの扱いについてである。

北朝鮮が在日米軍基地攻撃を想定した弾道ミサイル四発を発射した翌日の七日付朝日新聞の社説には目を疑った。
二本の社説のうち、ミサイル関連は下の第二社説とされ、より重視していることを示す第一社説では、安倍晋三首相の昭恵夫人は公人か私人かという論争が取り上げられていた。
社説は、昭恵氏が森友学園で講演した際に政府職員が同行していた点を問題視し、「国民が納得できる説明をする責任がある」と結んでいた。

何を書こうと社の自由ではある。
だが、米国による北朝鮮への先制攻撃が現実味を増し、精度を高めた北のミサイルに対し、日本のミサイル防衛体制の再構築が迫られる局面である。

事の軽重や優先順位を無視し、森友学園問題を奇貨として、ただ安倍政権の足を引っ張りたいだけなのか。
国民の生命と財産に直結する事態より、不毛な公人・私人論争の方が重要だと言いたいのだろうか。

森友学園を巡っては、三日付毎日新聞の社説にも首をかしげた。
社説は幼稚園の運動会で「安倍首相がんばれ」と宣誓させ、教育勅語を暗唱させたことを批判し、「教育基本法は政治的中立を求めている」と戒めた。

私は教育勅語は常識的内容で問題ないと考えるが、「安保法制、国会通過よかったです」と言わせた点はやり過ぎだと思う。
それでも毎日が、思想・良心の自由がある私立学校の開設にまで「認可すべきでない」と主張するのには違和感を覚える。

一方、毎日は昨年三月三十一日の社説で、朝鮮学校への補助金に透明性を求めた文科省の通知を事実上の停止圧力だと批判し、補助継続を促した。
しかし朝鮮学校が政治的中立を保っているとは到底言えない。
都の調査では、教科書に金日成、金正日を賛美する表現が大量に見られ、慰安婦に関する虚偽記述も存在する。

森友学園を糾弾し、朝鮮学校をかばう姿勢は、典型的な二重基準である。
朝日や毎日は、「戦争立法反対」のポスターを貼った保育園や、「アベ政治を許さない」と書いたビラを小学校に掲示した職員については問題視しない。
こうしたご都合主義が、メディア不信を加速させるのである。

(論説委員兼政治部編集委員)

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