属国意識をさらけ出すメディアの危うさ— 「尖閣発言」と日本人の責任 —

敵対国の情報戦が進行する中で、国内は無意味な騒動に明け暮れている。元・空将織田邦男氏の論考を通じ、マティス米国防長官の「尖閣発言」をめぐる日本メディアの過剰反応と属国意識を批判し、「日本を守るのは日本人」という同盟の原点を再確認する論考。

2017-03-12

以下は月刊誌Hanada最新号に掲載された、元・空将織田邦男氏の本物の論文、本物の労作からである。
まともな国のまともな人間であれば、政権を弱体化させ、国力を削ぎ、敵対国の情報機関に蹂躙されながら馬鹿な騒ぎをしている暇などなく、織田氏が提起した問題を即座に解決しているはずである。
見出し以外の文中強調は私である。
マティス国防長官の「尖閣発言」は、安倍首相との会談冒頭、長官自らが述べたものである。
NHKは十九時のニュースで、わざわざニュース速報を出した。
マティス米国防長官が、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されると明言した、という内容である。
しかし、はたして速報を流すほどのものだったのか。
ある評論家は、所領を安堵された御家人のはしゃぎようだと揶揄した。
筆者も同感である。
アメリカに守ってもらおうと懇願し続けた末に、言ってくれた、万歳、というような属国意識丸出しの報道に、赤面した人も多かったのではないか。
安保法制の時も、イラク派遣の時も同じであった。
かつては従属だ、ポチだと批判してきたメディアが、こうした報道をするからこそ、余計に複雑な気分になる。
今回の発言は、中国による力を背景とした現状変更への抑止力になる。
しかし忘れてはならないのは、尖閣を含め、領土、領海、領空を守るのは日本人であるという原点である。
一九六九年、米国はニクソン・ドクトリンを発表し、国家防衛の第一義的責任は当事国にあると明示した。
これは日米同盟の大前提である。
マティス長官は、強い同盟国を持つ国は栄えると述べ、日本の防衛力強化を求めた。
今回の騒ぎは、日本人がこの同盟の基本を理解しているのかという疑念を抱かせるものだった。
日本人の血と汗の努力なくして第五条は発動されない。
その自覚を欠いたままの報道ではなかったのかと、強い懸念を覚えた。
首脳会談後の共同声明を見ても、その懸念は払拭されなかった。
国内では原点を忘れさせ、国外には日本に自立の意志がないという印象を与えかねないものであった。

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