五里霧中の「財務基盤評価」――ソフトバンク報道が露呈した市場の盲点

5,000億円規模の自社株買いを「財務基盤の強さ」と称する市場評価は、実は同社の資金源を把握できていないことの告白に等しい。日経記事の不自然さを起点に、情報の欠落、外部要因、そして市場操作の可能性という仮説補注を検証する。

2016-02-17

前章の発表があってから、その原資についての正確な記事が全くなかったことも、私の仮説の補注に対して、友人が唸った所以である。
今日の日経新聞15ページに、やっと、ましな記事が掲載された。
だが、この記事も実は妙な記事なのである。
*~*は私。
ソフトバンク株、急騰。
自社株買い好感、財務基盤を評価。
16日の株式市場で、ソフトバンクグループ株が急騰し、制限値幅の上限、ストップ高水準まで上昇した。
前日に発表した最大5,000億円の自社株買いが好感された。
市場でくすぶる米子会社スプリントへの懸念に反論するかのように、孫正義社長が決めた過去最大規模の自社株買いである。
ほぼ3年ぶりの安値圏まで売り込まれていた市場の評価も変わった。
16日の取引は気配値を切り上げて始まった。
終値も前日比700円、16%高の5,100円とストップ高水準だった。
今後1年で買う自社株は最大で発行済み株式の14%に相当し、需給改善への期待が高まった。
「将来への強い展望なしにできない規模だ」と野村証券の増野大作アナリストは語る。
米子会社の立て直しでくすぶってきた財務への懸念を和らげた面もある。
市場では「5,000億円もの自社株を買えるほど財務基盤が強い」との見方が広がった。
*ここが一番おかしい箇所なのである。
こういう連中が、やがて大学教授になったりして、テレビの報道番組に登場し、日本国政府や日銀の経済政策を批判している現実がある。
私が、そうしたメディアの態様を厳しく批判していることは既述のとおりだ。
ソフトバンクは、東証の中でも今や大きなウエートを占める会社である。
この箇所は、そんな会社の財務基盤について、彼等は五里霧中だったと言っているに等しいのである。
証券会社が保有資産の価値などから計算した目標株価の平均は7,500円ほどだ。
前週末には4,100円台まで下げており、割安感から買いが入りやすい状況にあった。
今回の自社株買いは、投資資産の売却収入の一部を使う。
*この記事では、それが何なのかは全く分からない。
だからこれを読んだ友人は、「あなたの仮説に対する補注は完璧に当たっていたのではないか」と言った。
つまり、中国政府が政府系ファンドを使って、今回、東証に急激な円高と株価の大暴落を仕掛けたとしよう。
その情報は、CIAを持たない日本政府には入らないだろうが、中国中枢にパイプを持つ民間企業者には入るだろう。
日本に対する愛国心などなく、利益追求だけを考え、巨額の資金を瞬時に動かせる人間なら、黙って一緒に動き、滅多に得られない利益を得る選択をする。
その利益の一部を前例のない規模の自社株買いに充て、自社の財務基盤を盤石にする。
これは一石二鳥である。
しかも自分の懐は一切傷めず、日本国民の資産から得た金で済むのだから、一石三鳥と言うべきだろう。
財務を統括する後藤芳光常務執行役員は、信用力にも配慮し、バランスシートを傷めない形にこだわったと語る。
最近は海外インターネット関連企業への投資を活発にしてきたが、投資の成果を株主に還元し始めたことになる。
*インターネット関連企業に投資した程度で、簡単に5,000億円もの成果が得られるものだろうか。
アリババ上場で一兆円超の含み資産が生じたことは誰もが知っている。
それを現金化したのなら、そう書けば済む話である。
実に妙な記事なのである。

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