「日本は謝罪すべきことなど何一つしていない」——講和を拒んだ国々の真実
朝鮮戦争を契機に進んだ対日講和をめぐり、ソ連と衛星国、中国招請問題、そしてインドのネール首相による明確な発言を整理する。49か国が賛成したサンフランシスコ講和の実相を示し、「全面講和派」の欺瞞を歴史事実から明らかにする。
2016-02-23
以下は前章の続きである。
文中強調は私。
日下。
その問題については、いまの若い人たちがあまり詳しく知らないと思いますので、簡単に解説を加えておきましょう。
昭和二十五年(一九五〇年)に勃発した朝鮮戦争をきっかけに、講和条約の話がもちあがったとき、日本との講和に反対した国がありました。
それが、いま渡部さんが言われたように、ソ連とその衛星国であるポーランド、チェコスロバキアです。
中国については、蒋介石の中華民国か、毛沢東の中華人民共和国か、どちらを招くかで英米間の意見が分かれたため、招請は見送られました。
またインドは、当時のネール首相が、「日本はわれわれに対して謝罪が必要なことなど何一つしていないのだから、講和会議には参加しない」と言ってきました。
こうして、アメリカやイギリスをはじめ、世界の四十九か国が講和条約締結に賛成することになりました。
四十九か国というと少ないように思うかもしれませんが、当時、アフリカ各地はイギリスやフランスなどの植民地のままで、まだ独立していませんでした。
したがって、四十九か国というのは、「世界のほとんどすべての国」と言うことができました。
この稿続く。